最近、マッチングアプリとかいうのがあってものすごく助かってる。
男の人と会って、その人の願い事を叶えてあげるだけでわたしの懐が潤う――いい時代に生まれたものだ。
今日も4件のアポが取れたし、また潤っちゃうね。
贅沢は言わないけど、当たりの男だと嬉しい。
「悪魔ちゃんですか?」
声の方を見ると――ハズレの男がいた。
あまりにデブ、見るからに不健康、写真と全然違う。
適当に挨拶を済ませて、必須事項の確認。
これが超重要なんだよね。
今回のお客さんはちゃんとプロフを熟読してくれたらしい。
わたしが悪魔であること、願い事をひとつ叶える代わりに寿命を全部もらうこと――このふたつを理解してもらってから願い事を聞いて、その上で契約書を作る。
面倒だけど、トラブル回避のためには契約書は大事なんだよ。
あと、コンプラがうるさい。
で、確認したら『悪魔っていうより、小悪魔だよね』とか言って笑ってた。
「よく言われますよ」とか言ってわたしも笑ったけど、内心では「本物に向かって小悪魔とはなんだテメェ」ってキレてた。
顔には出さなかったけどね――わたし、えらい。
願いの内容を聞くと、長々とカッコつけてたけど、最終的に『ホテルに行きたい』ってことでまとまった。
そのくらいはお安い御用だから、すぐに契約書を作ってサインをもらった。
最近の人間って相場もわかってないし、契約書も全く読まずにサインするから楽で嬉しい。
他愛もない会話を全部聞き流してホテルに到着。
チェックインして、願い事が叶ったから残りの全寿命――8年を徴収。
あまりに少ない。
もっと健康に気を使って長生きを目指して欲しかったな――わたしのために。
少ないとは言っても、飛び込み営業で真面目にコツコツ稼ぐよりはコスパいいんだよね。
次の社内査定が楽しみだ。





















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