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妖怪・風習・伝奇

ようじぃさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

農家のバイト
短編 2026/06/01 10:28 190view

俺が学生の頃、1日で5,000円もらえるバイトがあった。

農家の山でブランド果実に群がる野鳥を追い払うバイトだ。

どう追い払うかというと、エアガン。

田舎だし、対人には誓って使ってないから許して欲しいんだけど、ジュール規制が入る前のガチガチに改造されたエアーコッキングのスナイパーライフル、弾をこめる時のボルトがめちゃくちゃ固い。

友達と2人でバイト先の山に行き、農家のお爺ちゃんから使い方とそれぞれの持ち場を説明される。

試し撃ちしてみろと言って廃棄になったみかんをお爺ちゃんが持ってきた。

弾丸はみかんを貫通して向こうの土手に着弾した。

もし仲間の弾が当たったら大変だから小声で話せるくらいの距離を保ちなさい。

今日の持ち場はまだ収穫前だから、商品にだけは弾を当てるな。

木の枝や落ちた果物に群がってるやつを狙え、との事だった。

初めは躊躇したし、可愛い野鳥が口から血を流して死んでいるのを見てそこそこショックを受けたが、昼過ぎにはすっかり慣れた。

15時頃になりお爺ちゃんが、片付けを始めるから小屋に戻ってお茶にでもしようと声をかけてきたのでお言葉に甘えた。

「集めた鳥達はここに埋めてくれ」

撃ち落とした鳥は全部回収しなさいとの事だったので都度小さいコンテナに野鳥の死体を集めていた。

指示された場所にスコップを突き立て野鳥達を埋める。

畑のすぐ側だったので、肥料にすんのかな?とか言いながら友達と穴を掘り、軽く上から土をかけた。

それからはまぁお爺ちゃんの話が長い。お茶目なお爺ちゃんだったから話は面白かったが、方言がキツいのと早く帰りたいのとでソワソワしてた。

17時を回ったあたり、冬場だったので外は真っ暗になっており、お爺ちゃんの運転で町まで送ってもらえることになった。

車に乗り込む直前、急に罪悪感が湧き始めて、木の枝を拾い、小便と断ってこっそり野鳥を埋めた所に向かった。

墓標代わりのつもりだった。埋めた所にブッ刺して、軽く手を合わせる。お爺ちゃんにバレたら怒られそうだったので、友達にも黙って行った。

ここら辺だったよな、土を盛った場所に向かって木の枝を突き立てた。

あれ?思ったより手ごたえがない。

何度か刺し直し、ケータイの明かりで地面を確認してみると、さっき野鳥を埋めた場所は、土が盛り上がったままなのに中だけ空っぽだった。

その空洞の中に、野鳥は1羽もいなかった。

おかしい。ここに埋めたはずなんだけど。
木の枝で地面をいじくり回してると、後ろからお爺ちゃんが声をかけてきた

「はよ帰るぞ」

「あ、すんません。確認しにきたら野鳥がいないんすよ」

バツが悪くて適当に誤魔化そうとしたところ、お爺ちゃんがこう言った。

「あー、たまにそういう事がある」

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