俺には1つ下の弟がいる。
正直自分で言うのもなんだがかなり似ていると思う。学校では双子だと思われたりすることもあった。
俺はぶっちゃけ勉強が嫌いで、部活がとにかく楽しい。
逆に弟は成績がめちゃくちゃ良くて、スポーツは苦手。そういう正反対なところもむしろ兄弟っぽいかもしれない。
そんな弟が、最近変な夢を見ると言う。
「気が付くと真っ暗な空間にいて、どこからともなく見たことの無い女がゆっくり近づいてくる」のだという。
夢の中の弟は声をあげることも逃げることもできず、ひたすらその女を見ているだけ。
なんとも不気味な夢だ。
俺は夢占いをネットや本で調べてみたが、特に該当しそうなものはなかった。
その話を聞いて数日後、汗だくになって起きてきた弟が言う。
「女が日に日に近づいてくる」のだと。
最初は半信半疑だったが、弟はその日を境に見る見る憔悴していった。
得意だったはずの勉強も手が付かず、担当教師に心配されるほどだった。
ある日、弟が頼み事をしてきた。
「怖いんだ。あの女昨日、もう目の前まで来てた。どうなるか分からなくて、怖い。だから今日だけでもいいから一緒に寝てくれ」
心の底から絞り出すようなお願いを、俺は断ることなんてできなかった。
その日、俺は彼と同じベットで寝た。
「俺が横にいてやるから、大丈夫」
そういうと、弟は安心したのか、すぐに眠りについた。
あれから何時間たっただろう。いつの間にか俺も眠っていたようだ。隣の弟を見ようとしたが、そこには何もいない。
いや、弟だけじゃない。部屋の中になにもない、まるで”真っ暗な空間にいる”ようだ。
まさか。そんなわけ…。
ヒタッ…ヒタッ…
後ろから何かが聞こえる。
恐る恐る振り返ると、そこには見知らぬ女がいた。長い髪を振り乱した裸足の女だった。
そんな馬鹿な。弟の隣で寝たから、俺も巻き込まれた?
動けない。目を逸らせない。逃げられない。
だんだん近づいてくる女を、俺は凝視することしかできない。
女は俺の目の前まで来て、俺の顔を見上げ、言った。
「ああ、こっちか」
























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