私、小さい頃から人形が怖くって。
きっかけは大したことじゃないんですけどね。
昔からそそっかしい子供で、散らかした人形をふんづけちゃったりしていたんですよ。
そんな時に母から
「人形を粗末にすると、人形がやり返しにくるよ」
なんて怒られたんです。
おもちゃを大切に扱わない子供に対する躾でしかなかったんでしょうけど、子供の頃の私はそれがすごく怖くなってしまって。
人形を大切にするどころか、逆に怖がるようになってしまったんですよね。
だから途中から、人形で遊んだ記憶がほとんどありません。
でもそんな私でも、かわいい、欲しい!って思ったぬいぐるみがあって。
八歳くらいの頃だったかな。
父が会社の人からティディベアを貰ってきたんです。
真っ白で、首には深緑のリボン。
毛が長いタイプで、少しくたびれたような愛嬌があって、それがすごく可愛かった。
一目で気に入って、人形嫌いの私にしては珍しく、毎晩抱いて一緒に寝ていました。
ブラッシングしてあげたり、たまには洗濯してあげたりもして。
家族には気恥ずかしくて言えなかったけど、心の中では「くまちゃん」なんて名前で呼んでいました。
本当に大好きなぬいぐるみでした。
その子を抱いて眠るようになって、しばらくした頃です。
たまに変な夢を見るようになりました。
具体的な内容は思い出せないんですけど、とにかく苦しくて。
お腹をぎゅっと押されているような、締め付けられているような息苦しさだけが、目覚めたあとに残るんです。
ある夜も、私はくまちゃんを抱いて眠りました。
夜中、息苦しさでふと目が覚めました。
心臓がひどくドキドキしていました。
夢見が悪くて夜中に目を覚ますことはよくあったけど、その日は違いました。
誰かに見られているような、誰かが部屋にいるような。
時計の音だけが、やけに大きく響いていました。
怖くて、布団を頭までかぶって、いつものようにくまちゃんを抱きしめました。
ふわふわの体を抱いているうちに、少しずつ落ち着いてきて。

























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。