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不思議体験

唐揚げグランプリ金賞さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

マネキン
短編 2025/11/16 01:17 3,245view
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5年前位の話。
仕事で北陸のド田舎に住んでたんだけど、
職場まで通勤するための道にいっつもマネキンがあったの。
陶器?みたいなのでできてて、マジックで雑な点の目が書いてある。
立ったまま電柱に寄りかかるように置いてあって、昼ならともかく、夜になると電柱についてる灯りがスポットライトのようになっててまあ不気味なのね。でもまあ、言ってしまえばそれだけ。

地域とのコミュニケーションもろくに取ってないから、それがなんなのかは分かんないんだけど。
職場にいる地元の人に聞いてみても「なにそれ?」と知らない様子。
一人だけ、マネキンを知ってるおっちゃんは居たけど、なぜそこにあるのか、いつからあるのかは全く分からないらしい。

ある日、めちゃくちゃ仕事でムカついたことがあって、気分転換で行ったパチンコで大負けしてさ。凄いイライラして帰路についてたの。
頭かきむしって、もう酒飲むしかねぇって歩いてたら、マネキンとこの電柱がちょうど目の前で。
あのときの俺、本当にイライラしてたんだと思う。

マネキンの首掴んで、横の田んぼの側溝に叩きつけるように勢いよく叩きつけたの。

パコーン!!って音がして、首部分が勢いよく割れた。
内心やべ…と冷静になりつつ、どれくらい壊せたのか好奇心で見てみた。
マネキンの中は空洞になってて、紙が飛び出してるのが見えた。
かなり古い感じだったから、マネキンを作ったときに入れたものだろうと思った。
なんとなく紙を取って見てみる、紙には2行の年月日が書いてある。

俺は戦慄した。

上の年月日は俺の誕生日、
下の年月日は今日だった。

一瞬で全身寒くなったね。
辺りを見渡す。誰もいない。

俺は紙をその場に捨て早足でアパートに帰った。
怒りは完全あの瞬間に冷めてしまった。

誕生日は、もしかすると制作日とかが偶然同じだっただけかもしれない。
実際かなり古い感じのマネキンだったし。
でも、壊した当日のその日が書かれていたのは全くわからない。
壊される日を予言してたとかまずあり得ないだろうし。
そもそも上と下で20年以上離れてるから、20年前の製作者がわざわざこの年、月日を書いたということになり、気味が悪い。

マネキンは次の日も壊れたままそこにあって、
俺自身にも何か呪いとかが起きることはなく、
そのまま2年後に関東に引っ越した。
あのマネキンはなんだったのか、今でも奇怪で不快な思い出。

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