「ちょっと来てくれ」
大手電力会社に勤務する私は同僚、ルーに呼び止められた。
「ルー、どうしたのよ?」
「実はM太から連絡があった」
「M太って、私たちが勤務している会社のCEOの長男さんの事ね。CEOとは親子喧嘩して、奥さんと子供を捨てて、行方をくらませたと聞かされていたわ。CEOはM太の事で凄い後悔をしていたわ・・・元々、M太の子供の今後の教育の事でもめたわけだしね・・・」
「M太は今、R地区に住んでいるんだ。M太は現地妻との間で出来た娘と共にR地区を逃げ出す決心が着いたらしい」
「M太のやつ、娘がいるの!?それはさておき、R地区って地元のカルト教団が根強い地域よね。それで会社がてこずっているのよ・・・」
「R地区には膨大な天然ガスが眠っているからな。アンタはエネルギー会社の天然ガス発掘のプロジェクトリーダーとして大変な立場なワケだ。なぜなら、カルト教団の連中が妨害して厄介なことになっているからね」
ルーは肩をすくめる。ルーは呼吸を整えて、ある事を告げた
「M太の現地妻と義両親はカルト教団にどっぷりハマっているんだ。俺は先日、R地区に向かったが、現地妻と義両親はある人物と会っていた」
ルーは私に写真を見せる。
「この人ッて!アメリカの大手エネルギー会社「E社」に勤めていた・・・」
「E社倒産後に横領した金で行方をくらませたRだ。Rがカルト教団の教祖なんだよ」
「なるほどねぇ、R地区の天然ガスの件にE社の残党が絡んでいるという事になるわね?」
私は目をつぶる。
「ルー。出来たら、私もM太と娘さんの逃亡に協力するわ」
「OK。M太は明日、逃亡する。今からR地区に行こう」
次の日の深夜、私とルーや数名の協力者たちがR地区にあるM太の自宅の近くまで来ていた。私は数名の協力者を見て、背筋が凍る。全員殺気立っていたのだ。M太の自宅の玄関のドアが開いた。M太と娘だ。M太と娘は私たちが乗っている日産・ブルーバード・アテーサ(U12型)の4ドアハードトップに乗り込む。ルーは急いでブルーバードのエンジンをかけて、その場から走り去った。私は後ろを見た。
「!」
私は青ざめる。それは現地妻と義両親が走って追いかけているからだ!
その時、銃声と爆発音が聞こえた。協力者たちとカルト教団が銃撃戦を始めたようであった。数時間後、私たちが乗ったブルーバードはM太の実家に到着した。私たちはブルーバードから降りる。玄関ではM太の両親が出迎えてくれた。M太の父親はM太に抱き着く。M太は懐からモーゼルHSc自動拳銃を取り出し、自分の娘をなんの躊躇なく射殺する。M太の父親は私の肩を叩き
「よくやった、お前たち。これであの地域の膨大な天然ガスはわが社の物だ、はははッ。儂はキミたちのおかげで息子と和解ができた。謝礼は後日、口座に振り込んでおく。それと今、M太に射殺された「どこの尼の骨が分からぬ娘」はあいつら=現地妻と義両親から養育費を請求させるため、生存している事にする。いいね?」
と笑う。CEOとの会話を終えた私はM太の娘の死体を硫酸で溶かした後、溶けなかった部分の物は近くの雑木林に遺棄したのであった。
数週間後、カルト教団は協力者や警察の手によって、壊滅した。ヤバいと思った教祖様ことRは大金を持って、どこかにトンズラしたそうである。それから、奥さんと子供や両親、弟夫婦と楽しく生活しているM太にR地区の警察から連絡があった。現地妻と義両親が心中したのである。また、警察が調べたところ、多額の借金があったのだ。現地妻と義両親は教団へのお布施する為にM太をATMとして扱っていたのである。さて、私はというとR地区にある天然ガス採掘場へと向かう。余談ではあるが、私はM太の件とR地区で天然ガスが発掘された事で大手電力会社の専務へと出世したのである。さて、天然ガス採掘場に着いた私は周囲があわただしい事に気が付いた。
「あなたたち、どうしたの?」
私は作業員に聞く。作業員がこう告げた。
「実はこの近くでレアメタルが見つかったんです。ただ、レアメタルが見つかった地域にトンズラしやがったカルト教団の教祖様がいやがったんです。をどうしましょうか?」
私はこういう。
「今度こそ、ちゃんと処分してね♪」
終わり


























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