ある「ゲーム友達恋人」の末路

「実は恵さんに聞きたい事があったんだ。JR〇〇駅の掲示板の噂なんだけど・・・」
「今の時代に駅の掲示板って、シティーハンターですか？それはともかく、掲示板の噂と言いますと、やはり・・・」
「そう、怖い話よ。プレステのホラーゲーム「トワイライトシンドローム　再会」の保険医のエピソードみたいにね」
筋金入りのゲーマーのW子は僕に〇〇駅の掲示板の話を始めた。その掲示板にはこう書かれているのだ。
「Z君へ、昨日、日本ファルコムのRPG「ロマンシア」購入したから、Z君の家でプレイしよう。P子より」
この時、私は他愛のないゲーマー達の馴れ初め話だなと思って聞いていた。Whiteは
「駅の中にある掲示板って、一定の時間が来ると駅員さんが消すじゃない？駅員さんが掲示板に書かれていた文章を消しても、次の日、同じ文章が書かれることがあるのよ」

とため息をつく。私はその「ロマンシア」は日本ファルコムではなく今は無きコンパイルが製作したファミコン版なんだろうな・・・と思いながら聞いていた。そんなW子は衝撃的な話をする。
「実は〇〇駅近辺で女子高生が殺害される事件があった事が分かったわ・・・」
最初、この話を聞いた私は最初、高校生くらいのファミコンユーザーのゲーマー少年、少女の他愛のない馴れ始めから哀しき恐怖話にジョブチェンジのはず・・・が彼女が語る真相は
「そして、女子高生殺しの犯人は同じ高校に通う女子生徒だったのよ。犯人の供述だと、イケメンの彼氏をゲームオタクの女に寝取られる可能性があるから殺害したんだって・・・。それに犯人は森昭雄の著書「ゲーム脳の恐怖」の
「これ書いた森とかいう奴、マジで頭おかしいだろ！？こいつ、精神病院の隔離病棟に一生閉じ込めておけ！いや、マジで」
と筋金入りのゲーマーである私が頭を抱える位、常軌を逸したトンデモ科学「ゲーム脳」の影響からか、御自慢のイケメンの彼氏がテレビゲームや映画、テレビアニメにハマるのを警戒していたらしいわ。もっとも当時はゲーム脳は犯罪を引き起こすといわれるくらい問題視されていたし。まさに平気で殺人を犯すくらい常軌を逸した「鉄道模型妻」というワケなのよ・・・むしろ「ゲーム友達恋人」といった方が良いか・・・それにイケメンの彼氏もいきなり自分の家に「電波少年」も驚愕するくらいのアポなし突撃をかましてくる程のキチガイ女と別れて、同じ趣味が分かり合えるゲームオタクの女と交際しようと思っていたのよ。それと殺害された女子高生はカバンにPC-9801版の「ロマンシア」が入っていたのよ。殺された女子高生はきっと彼氏の家で「ロマンシア」をプレイするつもりだったんだよ・・・」
とトンデモ理論満載しかない「鉄道模型妻」ならぬ「ゲーム友達恋人」の登場によるトンデモ修羅場に変貌していくさまであった。まさに予想の斜め上を行くというのはこの事である。ちなみにイケメン彼氏に言い寄ってくる女が次々と不審死を遂げる事件が多発していた。言うまでもないが、一連の事件の犯人は「ゲーム友達恋人」である。

さて、「ゲーム友達恋人」はどうなったかというと、警察に逮捕されることなく、コンビニで例のイケメンの彼氏とイチャコラしていたが、コンビニの女性店員はイケメンの彼氏の頭をつかんで、唐揚げ用のフライヤーに顔面を押し付ける。
「ぎゃあああああああああああああ！」
その現場を見た、コンビニの店員やお客さんはその現場を見て大笑いしながら、コサックダンスを始めた。コンビニ内での惨劇を目の当たりにした「ゲーム友達恋人」は恐怖のあまり、コンビニを出たところ、こけた。その隙に、コンビニの女性店員はナイフでアキレス腱を切断したそうである。そこに大量の猫たちが「ゲーム友達恋人」の目の前に集結していた。先頭には黒猫がいた。まるでアルフレッド・ヒッチコック監督の動物パニック映画「鳥」のようであったという。
「ニャーニャー」
黒猫がそう吠えると、猫たちが「ゲーム友達恋人」にめがけて突進してきた。コンビニの駐車場にて、「ゲーム友達恋人」の絶叫が響いた。

数分後、「ゲーム友達恋人」は猫によって全身を食い散らかされた死体が見つかったそうである。ちなみにイケメン彼氏の方はというと未だに消息不明である・・・とW子は僕に語ってくれた。

終わり