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心霊

辻村さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

余韻
短編 2025/09/10 19:53 745view

数年前、高校時代の友人Dが結婚しました。
それからD夫婦は子宝にも恵まれ、
産後の忙しなさも落ち着いたタイミングに合わせて、マイホームを購入。

私も新居祝いで訪れ、広くて綺麗な家と、幸せそうな家族が眩しく見えました。
都会からもほど近く、緑も多い。治安も良さそうで、
子育てにうってつけの場所を手に入れたな、と思ったものです。
ですがDによると、一つだけ問題があるとのこと。
玄関のドアが数回、強く叩かれるのだとか。

バン!バン!と、手のひらで叩くような音が深夜に聞こえてくるそうです。

インターホンのカメラの死角から叩かれているようで、犯人もわからない。
嫌なイタズラがあったものだと思いました。
もう慣れてしまったと言っていたので、私も特に心配はしていませんでしたが、
先日、Dから連絡がありました。

家を売却する、引っ越しをする。といった内容でした。
新居祝いまで貰ったのに申し訳ない、と律儀なDに理由を尋ねると、
嫌な話を聞いた。と返ってきました。
曰く、ご近所に住むお婆さんに外で話しかけられ、
無事に生活できているようで何よりだ。と言われたそうです。

イタズラについて何か知っているのではと考えたDは、お婆さんに問いただしました。

すると、
Dの家が建つ場所には、四十年近く前に火事で焼けた家があったこと。
当時住んでいた一家は亡くなってしまったこと。
原因は放火とみられ、若かった頃のお婆さんは、
玄関を何度も強く叩きながら助けを求める一家の叫び声を聞くも、
何もできない自分がとても悔しかったことを聞かされたのだとか。

外からだったら、まだ我慢できるんだけどさ。
そう呟くDに、かける言葉が見つかりませんでした。

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