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不思議体験

kanaさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

父の正体
短編 2025/08/30 08:35 2,275view
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あれはボクがまだ幼稚園に通うか通わないかという頃の出来事。

父親が突然ボクに「自分は本当は火星人なんだ」と告白してきた。

「ええー!」当然ボクは驚いた。

まさか今まで信じていた父親が火星人だったとは・・・。

「今からその証拠を見せる」父がそう言って凄む。

いったい父は何をする気だろう・・・そう思って見ていると

「これからこのトイレに入って中で消えて見せよう」と言う。

「もういいよって言ったら扉を開けてごらん」そう言い残して父はトイレに入っていった。

トイレの扉の前で一人たたずむボク。・・・果たして・・・

「もういいよ」

父の声がしたので、おもむろに扉を開けて中に入った。

だ~~~れもいない。・・・確かにトイレは空っぽである。

トイレには扉以外の出口はないので、父は確かに消えたことになる。

不思議な現場を見てしばらく茫然としていると、玄関を開けて父が外から入ってきた。

「どうだ、これで火星人だということがわかったか」そう問いかける父。

「う・・・うん」冷や汗を感じながらうなずくボク。

「もう一回やって!!」

「いや、これは1回だけだ」

父はリクエストを断った。・・・たぶんけっこう大変な技なのだろう。

トイレには、人の頭がやっと通れるほどの小さな窓があった。

その窓の事は父には問い詰めなかった。大人が通れるとは思えないほど小さな窓である。

大の大人がそんな所から外に出て、自分が火星人である証拠だなどと言うはずがない。

だって大人だもん。

そんな火星人の父も、齢80を超え、田舎でノンビリと余生を過ごしています。

次、会いに行ったら、この件を追及してみようかと思います。

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コメント(1)
  • kanaです。
    「だ~~~れもいない。」のところは、稲川淳二風に読んでいただくと雰囲気出ると思います。w

    2025/08/31/10:02

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