奇々怪々 お知らせ

不思議体験

nickningenさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

F棟8階より
長編 2025/08/16 02:00 4,392view
0

私が小学校低学年の頃に体験した話をここに残しておく。
実体験のため、特に大きなヤマやオチはなく、理由も不明だ。
体験は多少は脚色してはいるが、大筋を歪めてはいない。

小学校低学年の頃、私は辺鄙な土地に建つそこそこ大規模なマンション群に住んでいた。
マンションはA~G棟まで存在した。
当時はマンションに住む友達と少年野球チームに参加していたこともあり、外で遊ぶことが多かった。
野球、秘密基地作り、鬼ごっこ、缶蹴り、河原でエロ本探し、沼でザリガニ釣りなどで遊んでいた。

その日は晴れた休日の午後、夏だった。
友達はどこから仕入れた情報かは分からないが、マンションの都市伝説を検証しようという。
私の住んでいるマンションは子持ち世帯が多く、たびたび子供達の間で都市伝説のような怪談のようなものが流行る。
暇を持て余した子供の嘘か、親の悪戯心なのかは分からない。

都市伝説のターゲットはF棟だった。
私のマンションはA〜E棟はマンション建築当初から存在する棟で、F棟とG棟は10年ほど後発で建築されていた。
そのため、当時は新築でほとんど部屋が埋まっていなかった。
新しくて綺麗なのにいつ行ってもほとんど誰もいないのが不気味だったのかもしれない。

友達が言うにはF棟の階数が増えることがあるらしい。
そして、どこの階が増えたのか、増えた階に行ってみたいと言っていた。
好奇心旺盛な私達はその新しい遊びに興味津々だった。
人手が必要とのことだったので、少年野球仲間の家のインターホンを片っ端から押していった。
結局、言い出しっぺの友達と私を合わせて6人集まった。
6人集まると言い出しっぺの友達は検証方法の説明を始めた。

1人はマンションの外からマンションの階数を数え続け、階数が増えたら2回、増えた階数が元に戻ったら1回笛を吹く。

他の人は笛が2回聞こえたら自分の階の数字と上下階の数字を確認する。
自分の階の数字が増えたり、階数がダブったら階数を数えてる人に向かって両手で大きくマルを作り合図をする。

言い出しっぺの友達が階数を数える係になり、他は自分の担当する階数を決め、F棟内に入っていった。
私は適当に8階に陣取った。
そして、友達からもらったノートの切れ端に「8」とメモをした。
階段は棟の入り口側に付いており、手すりは細い鉄製の格子が子供の太もも程度の感覚で並んでいる。
そのため、階段は階数を数えている友達とお互いを視認しやすい。
配置についたことを知らせるために、階数を数える係の友達に手を振った。
友達も了解の意味で手を振り返してきた。
合図の確認ができたので、友達から見えない位置まで後退し地面に座り込んだ。
私は階段の階数が増えるまで暇になると思い、ポケットにゲームボーイを忍ばせていた。
私は家ではゲームや漫画を禁止されていたため、こういうタイミングでしかゲームができない。

1/4
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。