忘れもしません。小学5年生のある夏の日でした。
当時、私の中で朝の会が始まる30分前に教室に行くのがマイブームになっており、誰もいない教室で電気をつけて一人で読書をするのにはまっていました。
頑張って早起きして、支度して夏のカンカン照りの日差しの中で家からそう遠くない小学校に足を進めていきました。
校門から入り、靴の後ろに自分の名前が書いてある上履きを履いて階段を上り始めました。踊場に大きめの窓があるのですが、そこからもさんさんと日差しが入り汗が吹き出します。
扇風機のある教室に早く行かなくては。そう思い、もう体に合わなくなってきている茶色のランドセルを揺らしながら歩いていきます。
私の教室は3階にあるのですが、2階と3階の間の踊り場で、嫌な気配を感じ取りました。足早に階段を駆け上がります。
階段を上がって、8段目くらいのところでしょうか。いきなり金縛りに遭いました。階段に足を踏み出している姿勢のままです。
しかし、それと同時に矛盾した出来事が起こりました。体は全く動かせないにもかかわらず、私の視点は少しずつ階段を上がっているのです。
子供ながらに、幽体離脱ってやつか?と思いましたが、どうやら違います。登り切った先に見えたのは3年生の教室…つまり、その「視点」は今2階にあるようです。
その視点は、くるっと回転しました。どうやら、この「視点」はさらに3階に登る予定のようです。またです。1段、1段とあがっていき…ついには、2階と3階の間の踊り場に。くるっと振り返って、今私がまさに登ろうとしている階段のエリアへ。
1段、1段…上がっていき、「私の名前」(上記にもある通り、私の上履きの後ろには私の名前が書かれています)が見えました。
その瞬間、金縛りが解けました。嫌な予感ばしたものの、「視点」の正体を探りたいと思い、つい、後ろを向いてしまいました。
小学1~2年くらいの昭和時代くらいの古臭い服装の子供が、にたあっと笑っていました。
声も出せず私は必死で、階段のすぐ先にあった5年生の教室に逃げ込みました。
その時にはもう、彼はいなくなっていました。
この話に関連するかどうかはわかりませんが、ちょうどこの3階で、生徒が過去に歯磨きをしている最中に転んでしまい、歯ブラシがのどに詰まって亡くなったという事件があったそうです。


























この話を聞かれた方で、よく何が起こっているのかわからないとおっしゃる方が多いので、
念のため、簡略的にコメント欄で説明させていただきますと、
階段を登っている途中で金縛りに遭う
→視界をジャックされて、なぜか1階から階段を上ろうとする幽霊の視点が目に流し込まれる。
→私が上履きの後ろに書いていた自分の名前が見えて追いつかれてしまう
→振り返るとちっちゃな子供の幽霊
こんな感じです。
この説明だと怖い雰囲気が台無しになりそうなので、コメント欄に書かせていただきました。