私がまだ小学生の頃の休日のことでした。父親が突然、
「近くの神社に行こう」
と言い、準備を始めました。自転車に乗り、父親についていきます。夏の暑い日差しがまぶしく、30分ほど自転車をこぐと小さな山に建てられた神社が見えてきました。
私が神社に行くのは初めてで、父親は楽しそうに、
「神社はな、真ん中の道を歩いちゃいけないんだ。神さまの道なんだ」
なんて言って色々説明していました。
鳥居をくぐった瞬間でした。とてつもない寒気に覆われて、一気に体調が悪くなったのです。父親も私が急激に体調不良になったのを察知したようで心配そうでした。
「大丈夫か?」
と尋ねる父に
「大丈夫」
と弱弱しい声で返しながら歩きます。山の上に立っている神社のため傾斜が多くて、鬱蒼とした木々の中だというのに冷や汗をかきまくりでただただ歩きました。
父親が
「休憩しよう。この先に、休憩所があるんだ」
と言い、ベンチがいくつか置いてあるそこで、しばらく休憩をすることになりました。ベンチに座ると、父親が
「近くに自動販売機がある。水系?お茶とか?それともジュース?」
お茶が欲しい、と言うと父親はわかった、待ってろよ。と言って歩き出しました。その瞬間でした。いきなり雨が降ってきました。直前までは夏らしい入道雲のある快晴だったのですが、いきなりしとしとと小雨が降ってきたのです。
無意識に、左側を向きます。すると、少し離れたベンチに先程はいなかった学ランを着た男が座っています。
気づけば金縛りになっていました。体が動かず、瞬きすら許されません。学ランの男が立ちました。一歩、一歩と歩いてきます。ゆっくりと手を差し伸べてきました。近いはずなのに、顔が全く見えません。
手が操られたかのようにゆっくりと伸びていきました。まずい、とは思っているのですが、本当に体が言うことを聞きません。
次の瞬間でした。父親が
「おい、麦茶買って来たぞ」
と言う言葉とともに、天気も、男も、金縛りもすべてが元に戻りました。麦茶を飲み、父親と他愛ない話をして、具合が悪くなりながらも参拝して帰ってきました。
後日聞いた話ですが、地元住民からは首〇り神社と呼ばれている神社で、自〇者が後を絶えず、精神的に弱っている人が引きずられるといううわさがある神社だったそうです。

























自殺してしまった人たちは仲間が欲しかったのかな、、、
お父さんはなんで連れてきたの?
そのトーリ!
父親がそもそも精神的に参ってて娘連れて自殺しに来たのかと思った
コメントありがとうございます。娘…じゃなくて私は男性なので息子になりますが、その線もひょっとしたらあるのかもしれません。
一応、父親は神社のその噂を知らないようでしたが、演技かもしれません。
詳細は伏せますが、父親はそもそも私が生まれるのを望んでいなかったので。