私が大学のときに本当にあった話なんだけど。
その頃さ、バイトの帰りに毎日のようにコンビニ寄って、アイス買うのが習慣だったの。
ちょっとした楽しみってやつ。
で、いつも同じコンビニ。
店員も何人か顔見知りになってたんだけど、ある日、その中の一人の男の子にね、レジ終わったとき、すごく小さな声で言われたの。
「……気をつけてください」
え? って思うじゃん。
何のこと? って聞き返そうとしたけど、彼はもう次の客に対応してた。
こっちはモヤモヤしながら、とりあえずアイス受け取って、外に出た。
で、そのまま、いつもの道を歩いてマンションに向かったの。
ちょっと暗い道でさ、何回か振り返ったんだけど、誰もいなくて。
でも――
マンションの入り口で、後ろから急に、誰かが抱きついてきたの。
胸のあたりに腕回されて、息が詰まった。
頭が真っ白になって、声も出ない。
その時、後ろから、「大丈夫ですか!」って声がしてさ。
そしたら、腕がほどけて、男が逃げて行った。
振り向いたら、さっきの店員の男の子が立ってたの。
全力で走ってきたみたいで、肩で息してた。
私、もうその場にしゃがみこんじゃってたんだけど、彼がすごく真剣な顔で言ったんだよ。
「……あの人、ずっとお客さんのこと見てたんです。今日だけじゃない。おかしいと思ってたけど、今日、変なタイミングで出ていったから、追いかけました」
それからすぐ警察呼んでくれて、おまわりさんが来て、いろいろ話した。
で、後からわかったことが、めちゃくちゃ怖くてさ。
あの男、他にも何人か、同じような痴漢行為してたって。常習犯だったんだって。
でね、警察の人に聞いたんだけど――どうやってターゲット決めてたかって話。
「アイスを1本だけ買う女」だって。
1本だけってことは一人暮らしだってわかるし、アイスは溶けるから、家が近いっていう証拠になるんだって。
怖くない? 何それ、って感じじゃん。
























結果オーライやん