白髪
投稿者:@示月 (2)
nさんは友人と二泊三日の関西旅行を計画していた。
観光はほどほどに、現地での食事をメインにした旅行なので
宿泊費はなるべくおさえたかった。
ネットで宿を探していると民泊のマンションを見つけた。
繁華街から徒歩で行ける1LDKの綺麗な部屋。
モデルルームの様な内装で、周辺のビジネスホテルよりかなり安い料金で利用できる。
友人も宿にこだわりがないためnさんはこの部屋を即決した。
当日、nさんたちは現地で観光や食事を楽しみ、予約した部屋についた。
一見普通のマンションの一室。
三階の角部屋で、中に入ると写真通りの綺麗な部屋だった。
広いLDKに廊下を出てもう一部屋が寝室になっている。
トイレも風呂場も掃除が行き届いており清潔だった。
寝室にはシングルベッドが二つ、きちんとベッドカバーがかけられてまるで本当のホテルのようだった。
友人と二人、ここに住みたいねと話してソファーでくつろいだ。
nさんはコンビニで買い込んだお酒を飲みながら今日行った観光地や食事の写真をスマホで見返していると
ソファーに置いていた片手に違和感があった。
手を見ると、白い髪の毛が指に絡んでいた。
座っているソファーの背もたれと座面の隙間に手を挟めるとまた数本、毛がからまる感触があった。
nさんは友人に手を見せると友人は顔をしかめた。
nさんも気持ちが悪いと思いながら指にからまる毛を取った。
その後、先にシャワーに入った友人が
排水溝がつまってて水が流れなくて、蓋を開けたら髪の毛がぎっちりつまってたよ。といった。
髪はビニール袋でつまんでそのまま捨てたという。
一見綺麗に見えても、やはり安いだけの理由があったのか、とがっかりしたが
寝るだけの部屋だと思えばまぁいいかと二人は納得した。
nさんもシャワーを終え、ベッドに入った。友人も先に寝てしまったのか静かな寝息が聞こえた。
一日の疲れが急に出て、あっという間に眠りに落ちた。
小さな話し声で目が覚めた。
隣で寝ている友人が何かを呟いている。
時々うなされながら、苦しそうにしている様子だった。
「お前は地獄にいるよ」
急にはっきりとした声で友人は言った。
心配になったnさんは友人を起こした。
すると、友人は汗を浮かべた顔で嫌な夢を見たといった。
夢で、自分の周りを黒い老婆が這いずり回り、地獄に行くよ、地獄にいくよ、と何度も言われたという。
老婆の這った後は黒く汚れ、排せつ物の臭いがした。
まあまあ怖い