天井
投稿者:うしお (1)
私が中学生の頃に体験した出来事です。
部活を終えて学校から帰り、夕食を済ませて布団に入りました。
その頃の私は遅い時間まで起きている事が多かったので、大体夜中の一時頃だったと思います。
目を閉じて仰向けに寝ていると、急に身体が動かなくなってしまいました。
そして、何かの気配を感じました。
私は確かめようと、動かない瞼を必死に開こうとしました。
天井から視線を感じます。
怖々と目を開けると、天井から黒くて長い髪が私の顔の前に垂れ下がっていました。
天井からは顔が飛び出しており、窓から入る月明かりに薄く浮かび上がった顔の青白い女が、長い髪の中央でじっとこちらを見ています。
目が合ってしまいました。
視線を逸らすために身体に力を込めます。
横向きになろうと、少しずつ、回転します。
ようやく身体の向きが変わっても、視線が気になり眠れません。恐怖に耐えながら朝を迎えました。
次の日からは、横を向いてから寝ました。
一時頃になると、やはり彼女が現れます。
また同じように身体が動かなくなりました。
目を開けて、眼球だけを天井へ遣ると、長く垂れた髪が見えました。
動かない身体は震えることすら出来ません。
そんな日々が三ヶ月ほど続き、何でもないある日を境にそれは見えなくなりました。
ふと考える時があります。
彼女は子供の時にだけ見える存在で、本当は居なくなったのでは無くて、今でも天井からじっと私を見下ろしているのかも知れないと。
十年経った今でも、寝る時は横向きです。
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