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妖怪・風習・伝奇

HiTsUZI1029さんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

ヒトノチ
短編 2024/11/10 07:37 805view
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これは地元の知り合いのおじさんの話です。
ここからはおじさんの言ったように話します。

ー当時私は中学生だったんです。当時の私達のような田舎の中学生のすることといえばそれこそ花火の火薬を変えて遊んだり川で蟹を捕まえて振り回したりといったことでしたが、何よりの楽しみだったことが大人の造るお酒を貰うことでした。大人達は廃小学校で交代交代に造っていました。造ったお酒を飲むわけではなく、私達子供は造る途中に出るいわゆる酒カスを貰って食べていました。これがなんとも旨い。丁度その時昭和12年に日中戦争が始まり食糧事情も厳しくなり、酒造原料米も制限されていた名残で、生産されるお酒の量も制限されていました。

それでもお酒を隠れて造っていた大人達は、警察や調査委員が来る度に余分に造った量を隠していました。その時隠していたのは戦時中に出来た、いわゆる「ガマ」です。 隠すのは手伝えましたが、私達子供は大人のお酒を造るところを見ることが出来ませんでした。
いつも見たいとせがむのですが、
「ダメだ。大人になってからだ。あっちへいけ。」
と、冷たくあしらわれます。 それがどうしても嫌で、夜友人と見に行こうとするのですが、廃校の周りは大人が見張っていて、とても入れたものではありませんでした。ですが、今日だけということもあったので、取り敢えず私達は毎日家へ帰る前に確認をすることにしました。

ある日のことです。いつものように警察からお酒を隠し、家へ帰る前の確認を友人としました。 その日だけ何故か警備員がいませんでした。 ラッキー!と思った私達は、早速廃校の中に入ってみました。そこで酒樽の周りを見た時私達は逃げ出してしまいました。
その次の日私達は廃校に侵入したことがバレてしまい、大人にこれでもか、というほど叱られてしまいました。
これで話は終わりです。

僕は酒樽の周りにあったものについて知りたく、聞いてみたのですが、
「子供は知らなくていいよ」
と、帰るように急かされてしまいました。
そこで、家に帰って断固として言いたくないという曾祖父に強くせがむと、酒樽の周りにあったのは 人の皮や指、そして血をためた瓶だと知りました。 人の血を使って造ったお酒は果たして美味しいのでしょうか。また、その血を使った酒カスを食べていた少年達の体に変異はなかったのでしょうか。また、何故こういったものを造ろうと思ったのかなと、考えの深まる話でした。

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コメント(1)
  • 原料の米、麦、芋等がなかったからね(´;ω;`)
    ( ゚д゚)

    2024/11/10/10:09

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