新居を見に来た
投稿者:太山みせる (35)
短編
2024/11/02
11:44
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現在90才のA子さんが、60代の時の恐怖体験
A子さんの旦那さんは、定年後も暫くは会社に請われて会長として働いていた
だからお金には余裕があり、60才を過ぎてから家を建てた
子供たちが巣立った後、2人で住むには大きくて立派な家だった
新居を見に、たくさんの知人が訪れたという
夫婦は気前よく、来た人を家に上げては家中を見せた
ある朝、旦那さんが会社に行った後に、事件は起きた
A子さんが家にいると、窓の外から人影がちらちら見えた
確かめると、1人のお爺さんが家の前を行ったり来たりしていた
その老人に見覚えがあった
旦那の会社の取引先の社員で、とっくに引退した人だった
何でここにいるんだろう?
あぁ、この人も新居を見に来たのか!
天然なA子さんはそう思い、老人に声を掛けた
挨拶すると、A子さんは「どうぞ」と言って、男を家に上げた
A子さんがお茶の用意をしていると、
「金を出せ」
唐突に背後から声がする
振り向くと、男が刃物を持って立っていた
突然のことに頭の中が真っ白になる
男は刃物を振り回しながら、金を要求した
何度もそれはA子さんに当たり、その度に血が流れた
痛いよりも怖かったそうだ
震える手でお金を渡した
(怖い……お金は渡したんだから、早く帰ってくれ!)
A子さんは、そう願った
しかし男は帰らない
持っていた袋から、手袋を取り出した
そしてゆっくりと、手にはめる
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