奇々怪々 お知らせ

心霊

申し訳ありませんさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

○○県✖️✖️市の地下歩道
短編 2024/10/18 21:00 1,023view
0

昔、最寄りの駅に行くために通っていました。
古くて、暗くて、天井に水を溢したようなシミがたくさんあって、そんなに距離は長くありませんでしたが、夜は特に通りたくなかったです。でもそこからしか、駅に迂回せずに行ける道がなく、仕方なく地下歩道を通っていました。

ある日の学校帰り、部活でかなり遅くなって、22時くらいだったと思います。最寄りの駅はいわゆる『無人駅』で、この時間帯はほとんど人通りはないのですが、その日は珍しく人がおり、さらに「こんばんは」と声をかけられました。
あまりに唐突だったので、返事ができないまま、その人は私の横を素通りしていきました。
知らない人なのに、挨拶するなんて珍しく丁寧な人だな、と後ろを振り返ってみたのですが、そこにあるはずの人影がありませんでした。
私は思わず「は?」と言ったまま立ち尽くしました。
すれ違ってから振り返るまで、たいして時間は無かったはずなのに、そこには足音すら、無くなっていました。

私はそれからしばらく地下歩道を避けていました。しかし、ずっと迂回して帰るわけにもいかないと、ほとぼりが冷めたぐらいに、また通り始めました。

その日は土砂降りの雨でした。
「こんばんは」と言われた瞬間、私は前回のことが脳裏によぎりました。一応目線を声がした方に向けましたが、地下歩道に霧が立ち込めてて、人影以外よく見えませんでした。
そして今振り返っても何故そうしたのかわからないのですが、私は「こんばんは」と返事をしてしまったのです。

コツコツと地下歩道に響いていた足音が消え、私の目の前にそれが立ち塞がっていました。
「きこえましたか」
4、50代くらいのスーツを着た男性でした。

それだけならまだ私も冷静でいられたと思うのですが、彼の首は異様に長く、また目が淀んでいて、とても真人間とは思えない様子でした。
「きこえてますよね」
掠れた声が近くで聞こえて、私は駆け出しました。傘もささず、雨に濡れることを忘れ、ただひたすらに走りました。家に帰るまで、一切後ろを振り返らず、家に入っても震えながら毛布にくるまり、壁に背中を預けていました。

後に知ったことですが、地下歩道のすぐ近くの家で、その数ヶ月前に首吊り自殺があったようです。事故物件を調べるのが好きな友達が教えてくれました。
友達曰く、もう二度と通らない方が良い、とのことでした。『関われる人』を探していたのではないか、とも言われました。
以来、どんなことがあってもその地下歩道は通りませんでした。
同じような体験をされた方がいましたら、教えて頂けますと幸いです。

1/1
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。