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心霊

申し訳ありませんさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

黒猫
短編 2024/10/13 04:19 162view

ぬいぐるみの話です。

幼少期、ゲームやスマホで遊ぶことが多かったです。
黒い猫のぬいぐるみは、誕生日に珍しく玩具屋さんで父が買って来てくれました。
赤色の目をした、両手で抱きしめられるサイズの黒い猫のぬいぐるみに、私は『クロ』という名前をつけました。

クロはいつも同じ場所にいました。
寝る時も、出かける時も、ご飯を食べる時も、ずっと子供部屋の端っこにいました。
人付き合いが好きで、友達がたくさんいた私にとって、ぬいぐるみはさほど重要ではありませんでした。

ある夜、いつものように布団の中で微睡んでいたら、何かの視線を感じました。私はその視線が何なのか確かめたくて、眠い瞼を薄く開けて顔を上に向けました。
赤い瞳がこちらを覗いていました。

それは1回、2回と瞬きをしたように見えました。
私は気のせいだと思って寝ました。

そんなことが数回ありました。
気味が悪かったので、クロを親にばれないようにこっそり、燃やせるゴミの日に捨てました。
部屋の隅の何もない空間を見て、あんな気味の悪いぬいぐるみ、捨てて良かったと思いました。

その夜、私は夢を見ました。
クロが生きていて、部屋を駆け回り、私の膝の上でニャーと鳴くのです。
やっぱり生きてたんだな、と私は怖気が走り、リビングに行って、包丁を取り出して、クロの首を切り落としました。

その瞬間、私は跳ね起きました。

じっとりとした汗が気持ち悪く、息遣いが荒くなっていました。
まだ真っ暗な部屋で息を整えます。
落ち着いてくると、部屋の明かりをつけました。
手が血まみれになっていました。
私は唖然として、しばらくそれを眺めていました。
ふと我に帰り、足元を見ると、黒い猫のぬいぐるみが転がっていました。

クロでした。

への字の黒い口から、赤黒い液体が流れた黒猫のぬいぐるみは、胴体が裂かれ、綿が飛び出していました。

それから。
私は父に言って、近くの神社でお焚き上げをしてもらいました。
パチパチと火に焚べられたぬいぐるみは、あっさりと燃え上がって、黒く炭になっていきました。赤色の瞳が、何故だかこちらをじっと見つめている気がしました。

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