【short_27】いじめられっ子
投稿者:kana (210)
小学生だった私は、クラスメートからいじめにあっていました。
強く逆らえない私も悪いのかもしれない。いじめなんてだまっていればきっとすぐ通り過ぎていく・・・そんな風に思っていた時もありました。
だけど、小学校の6年って、長い・・・。
私はいつしか体調を崩しやすくなり、保健室に通うことが多くなりました。
ベッドで横になっていると、ある女の子が話しかけてくるようになりました。
「あなたもいじめられてるの? 私もよ」
優しく大人しく語りかけてくる彼女とはすぐに気が合い、友達になりました。
「いじめに遭わなくなる方法、私知ってるよ。教えてあげようか?」
「う・・・うん・・・」
「じゃあね、この中であなたの好きなものはど~れかな!?
①自動車 ②高いお空 ③お池の金魚 ④ブランコ ⑤キャンプファイヤー」
私は澄んだ青空と白い雲を想像しながら「じゃあ2番の高いお空」と答えました。
「じゃあ、一緒に来て!」彼女は私の手を引き、保健室から抜け出しました。
そのまま階段を駆けあがり、とうとう屋上に出ました。
屋上は自由に出入りでき、転落防止用の柵もない時代のことです。
「ほら、こっち」女の子は私の手を引きどんどん建物のへりの部分まで歩いて行きます。
「怖い、落ちちゃうよ!」「ほら見て、高いお空。行くよ!」彼女は私の手を掴んだまま、
そこから飛び降りようとしたのです。
寸でのところで私は女の子の手を振り払い、助かりました。女の子は落ちていく瞬間、こう叫びました。「死ねばもう、いじめに遭わなくてもよくなるのよっ!!」
私はすぐに1階まで駆けおり、女の子を探しましたがどこにも見つかりませんでした。
保健室の先生の話では、昔いじめを苦に自殺した生徒がいたとのことでした。
「自殺で問題解決した子には、それ以外の方法が思いつかなかったのかもね・・・キミはそんな風になっちゃダメだよ」保健の先生はそこからいじめ問題解決に動いてくれました。
もし、もう一度彼女に会えるなら教えてあげたい。いじめは自殺では解決しないんだって。
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