優しい彼の正体
投稿者:太山みせる (35)
20代前半の真弓の話
真弓は優一という10才年上のサラリーマンと付き合っていた
真弓によると優一は、今までに出会った誰よりも優しくて、誰よりも自分のことを分かってくれる人だという
誕生日やクリスマスでプレゼントされるが、何故か欲しい物や好みの物をいつもくれる
何が欲しいとか、どういうのが好きだとか言った覚えはないらしい
何で分かったか聞いてみても、
「君を見てれば分かる」
と言われるだけだった
「こんなに私のことを、思ってくれる人はいない」
そう言って感激した
結婚はこの人以外、考えられない!
と、ある時までは思っていたそうだ
※※※
ある日曜日、真弓は彼の家で2人でまったり過ごしていた
すると突然、彼の友達夫婦がやってきて、これから出かけるから子供をみててと置いて行ってしまった
いきなりのことに驚いたが、彼の友達夫婦は真弓がいるのを知らなかったようで、また優一に聞くと、たまにこういうことがあるとの事だった
面倒事を押し付けられる優一を心配しながらも、子供好きな真弓は、その子と遊ぶことにした
子供は3才の一郎という男の子で、とても大人しかった
何だかオドオドしていて、真弓がいくら優しく
話しかけても、答える前に優一をチラリと伺っていた
声も小さく痩せていて、ふとした瞬間に長袖が捲れたら、そこにアザがあった
「えっ…」
もしかして虐待?と思った真弓が、一郎の着ているトレーナーを捲ったら、腹にも背中にもアザがいくつもあった
慌てて優一に報告しても、
「よく転ぶ子だと言っていたよ、虐待ではないと思う」
で片付けようとする
真弓は、
「友達を信じたいのは分かるけど、虐待しているつもりはなくても、虐待にあたることはあるのよ」
と真剣に優一に説教した
すると優一も分かってくれたようで、その場で友達に電話をしてくれた
そして、今自分の家に彼女がいること、子供のアザを見て、彼女が心配している事を伝えた
その後、しばらく話をしてから電話は切れた
類は友を呼ぶ?
警察に通報して、保護され本当に良かった。