海ガラス
投稿者:藍咲 青 (11)
私が高2の夏頃に体験した話。当時、世に言う不良だった私は学校サボって浜辺で弁当食ってた、その時何となく砂浜のゴミが気になってゴミ拾いを始めた。流木やらペットボトルやらをゴミ捨て場に運んでると不意に声を掛けられた、振り返ると自分と同い年くらいの女の子が立っていた。呆気に取られていると彼女は笑いながら「手伝おうか?」と言ってきた。内心「何だコイツ」と思いながらも彼女の申し出を受け入れしばらく雑談混じりに2人でゴミ拾いをした。あらかた片付いた頃に彼女が「これ頑張ったご褒美にあげるね!」と小さなバケツを手渡してきた。ピンク色で子供が砂場遊びで使うようなやつに貝殻や光る石のような物がたくさん入ってた。「くれるんなら貰うけどよ」とバケツを受け取り、貰いっぱなしだと収まりが悪いので「アイスでも買って来るから待ってろ」と伝えコンビニへと向かったそして買い物を終え浜に戻ると彼女はいなかった。
「どこいった?」と彼女を探しながら港の方まで歩いて行き知り合いの漁師さんに女の子を見なかったかを尋ね、先程の事を話しバケツを見せた。
するとバケツを見た漁師さんの顔色が変わり「本当にこの子から貰ったのか!?」と聞かれバケツを見ると掠れた文字で名前が書いてあった。
何の事か分からず呆然としてると「一緒に来い!」と手を引かれ近くの家に連れて行かれた。
玄関先で漁師さんが大声で人を呼ぶと奥から年配の夫婦が出てきた、そして浜での出来事と貰ったバケツについて2人に話すと「中にお入り」と家の中に招かれた。居間に通されると仏壇があり中にはさっき出会った彼女の遺影が置かれていた。モノクロの写真で時代を感じる古い写真、そして位牌にはバケツに書かれた名前が…。「そんなハズない」と狼狽していると奥さんが話し始めた「娘は今から30年前に海で亡くなってるの」と、それを聞いて言葉を失った。
奥さんは続けて「あの子は海が大好きで綺麗な物を集めるのが好きだったから、砂浜を綺麗にしてもらって嬉しかったんでしょう」と涙ながらに言っていた、その言葉で自分も涙が出てきた。
旦那さんからも「娘を家に連れて来てくれてありがとう、連れて来てくれたのが兄ちゃんで良かった」と言われ号泣してしまった、一緒にいた漁師さんも鼻水垂らして泣いてた。
しばらく談笑した後、バケツを仏壇に供え帰ろうとすると「それは娘があなたにあげた物だから持って行って」と奥さんに言われたが、やっと家に帰れたのだからと断りバケツの中から1つだけ頂く事に。薄いピンク色の海ガラスを貰い家を後にしました。
この体験から十数年経ち、すっかり社会人になりましたが今でもこの海ガラスとあの時の思い出は私にとってかけがいのない大切な宝物です。
涙が出てきました。良いお話をありがとうございます。
泣いた(T . T)
何か、あったかい気持ちになりました。
たまにはこゆのもいい
良い話だ。
不良だったって書いてありますが、そうではなく、とても心優しい方なんですね。