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呪い・祟り

藍咲 青さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

猫は祟る
短編 2024/06/03 23:45 1,512view
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先日、聞いた話です。(残酷な部分があるので苦手な方はご注意ください)

愛用してる腕時計が壊れたので市内にある時計店に向かう事に。店に向かう途中、一件の空きテナントが目に入りました。このテナントビルとにかく店舗の出入りが激しく長くても1年、早いと2ヶ月程で撤退して空きテナントになるので地元では様々な噂が飛び交っていました。ありきたりですが「幽霊が出るビル」というのが一番耳に入る噂で地元民は滅多に立ち入らない場所でした。そんなビルを尻目に目的の時計店に到着、年配のご夫婦が出迎えてくれ早速修理を依頼する事に。見積もりが終わると旦那さんが「この程度ならすぐ終わるから中で待ってな」と言ってくれて奥さんが「お茶でも飲んでゆっくりしてね」とお茶を淹れてくれたのでご厚意に甘える事に。修理を待つ間店内を見ながら奥さんと談笑していたのですが、ふと件のテナントの話題になり「あのビルまた空になりましたねやっぱ幽霊とか出るんですかね?」と冗談交じりに言うと「お兄ちゃんは知らないものね…」と奥さんは渋い顔をしながら以下の話を語ってくれました。

今から50年程前、時計店を含めた一帯が商店街だった頃、一件の鮮魚店があり夫婦と幼い息子が1人と姑の4人家族が暮らしていたそうです。ある日店先の魚が近所の猫に取られるという事があり、それに激怒した旦那が猫を捕まえると猫の腰目掛けて鉈を振り下ろし…。商店街中に響く猫の断末魔「この猫畜生が!!殺してやる!!」と轟く怒号、周囲の人が止めに入ると猫はちぎれかけた下半身を引き摺りながら飼い主の元へと···。飼い猫の鳴き声に気付いた飼い主が玄関を開けると血まみれになった猫が横たわり小さく鳴くと息を引き取ったそうです。

「あの時聞いた猫の声がまだ耳に残ってて…」と奥さんが語り終えると修理を終えた旦那さんが「あの魚屋は猫に祟られて滅んだんだ」と話し始めました。

猫の死からすぐ近所では「猫殺しの魚屋」と悪評が立ち客足は遠のき経営が悪化していったそうですがこの一家の不幸はここから。まず姑が近隣の川の中で溺死体で発見され奇妙な事に溺れるような深さもない川でまるで土下座するような姿勢で亡くなっていました。最初は殺人事件も疑われたそうですがただの事故死として捜査は終了、この頃には「猫の祟り」を噂する人が現れ始めたそうです。姑の死から1週間足らずで息子が自宅裏の側溝に挟まるようにして溺死、姑と同じように土下座のような姿勢のまま…。輪をかけて奇妙なのがこの側溝、亡くなった息子の身幅では絶対に落ちようがない程狭く無理やり押し込まれた形跡も無かったそうです。姑と息子の葬儀が終わる頃には噂は大きく拡がり「猫に祟られた魚屋」と呼ばれ誰一人として近づく事もなく経営は悪化、それからしばらくして精神を病んだ妻が自分の首を刃物で切り自殺、店はとうとう閉店に。まるで廃墟になった元店舗に1人残された夫は電気系統の故障で発生した火災に巻き込まれ焼死、店舗が全焼する程の火災だったそうです。

その後、空き地にビルが建ち店舗が入るも場所が場所なだけに人は寄り付かず様々な幽霊が現れるという目撃談が後を経たず現在に至るそうです。

旦那さんは最後に「猫は祟るんだ、恨みのある奴だけじゃなく身内や近しい人までな…」と付け加え話しを終えました。何やらとんでもない話しを聞かされ呆然としてしまいましたが同時に色々腑に落ちた感じがしました。道理であのテナント他の建物に比べて異常に暗くて3階のガラス窓にへばりついてる人影が見えるのかと…。

数日前このビルの前を通り掛かった際、新しくコンビニと英会話教室が入っていましたがきっとまたすぐに空きテナントになるんだなと思います。

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コメント(2)
  • 犬、猫、馬は人に近い生き物だから祟りやすいって聞いたことがある

    2024/06/06/15:18
  • 祟る…間違いなく。

    2024/07/19/03:29

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