悪夢の音
投稿者:となりのコロロ (9)
これより記載するのは2016年にカナダのブリティッシュコロンビア大学から発表された論文をまとめたものである。
睡眠研究者であるジェフリー・マーティン教授はとある実験を行った。
実験の目的は、外部の音が眠っている人間の脳にどのような影響を与えるかを調べるものである。
実験内容は35人の被験者を7人ずつ5つのグループに分け、それぞれグループごとに決められた音声を睡眠中に聞かせる。
その際に記録する脳波から音声による影響を確認するというものである。
用意された音声は以下のようなものである
①激しい雨が傘に当たる音声
②男女が会話をしている音声
③8拍子で鉄琴を叩く音声
④焚き火の音声
⑤本のページをめくる音声
この音声は被験者がレム睡眠に入ったタイミングでイヤホンから流れる仕組みとなっており、音量は全て45dbである。
また、マーティン氏はこの実験が始まる前に被験者たちに
「断片的な記憶でもかまいません。目が覚め次第おのおの手元にあるノートに先程見た夢をメモするように」
と指示している。
実験の結果、被検者の脳波には特に影響は見られず①,②,④,⑤の音声を聞いたグループは夢の内容もバラバラで音声による影響は見られなかったが、③(8拍子で鉄琴を叩く音声)を聞いたグループには夢の内容に共通する部分が見られた。
場所やシチュエーション等に若干の違いはあるが被験者が見た夢の内容は
「上半身裸の男の子が後ろ向きでこちらに走ってくる」
というものであり、このグループの7人中5人が同じ夢を見る結果となった。
以上が実験のおおまかな詳細である。
当時この論文は非常に大きな話題となり多くの研究者たちが調査を行った。
その結果、この音声は音量や再生速度など少しでも変化を加えると夢に男の子は現れなくなることが分かったが今日まで原因の究明には至っていない。
興味深い話しでした。