吹雪の中のピンクの道標
投稿者:皐月 (31)
これは、私がまだ中学生の頃の話です。
私が住んでいる地域は、かなりの豪雪地帯なのですが、この年の冬はかなり雪が多くて毎日かなりの量が降っていました。その日も、やはり雪が多くて、私たちは学校でしばらく様子を見る事にしたんです。
ですが、あまりにも吹雪がひどくなってきたので、だんだん怖くなり、私たちは慌てて帰る事にしました。前を向いて普通に歩く事さえ困難な状況で、車のヘッドライトだけが頼りでした。寒くて寒くて、頬や額に当たる雪の粒に、なぜもっと早く帰らなかったのだろうと、自分の浅はかさを後悔しました。
以前から、雪が降ってきたら早く帰宅するようにと言われてはいたのです。吹雪がひどくなったら帰れなくなると聞いていたのに、私はすぐ止むだろうと思ってしまったんです。
やがて、友人たちと別れて、一人になると、ますます風がひどくなり、私は下を向いて動けなくなりました。
と、不意に雪が止んだ気がしたんです。
恐る恐る目を開けてみると、いつのまにか吹雪が止んでいました。そして、空一面がピンク色に染まっていたのです。
ふと、足元を見ればすぐ側には田んぼの用水路があったのです。
もし、雪が止まなかったら私は間違いなく落ちていたでしょう。
考えて、私はゾッとしました。
それにしても不思議なのです。
ピンクの空が広がり、まるで音が吸い込まれたように、周囲は無音だったのです。
大袈裟かもしれませんが、まるで時が止まったかのように感じました。
なんだか、まるでおとぎ話の世界のように感じながら、私は一目散に走りました。
やがて、家の近くの通りまで出ると、再び吹雪になり、私は途方に暮れました。
やがて、母が迎えに来てくれて、私はやっと暖まることができたのです。
私が何の気なしに、先ほど雪が止んだときのことを話すと、母が不思議そうに私を見ました。
「何言ってるの?1度も止まなかったわよ」
母の声に、私は固まってしまいました。
あの ピンク色の空は、まるで道標のようだったと思いました。
無事に帰宅できて良かったです。
きっとご先祖さまとか誰かが守ってくれたのかな。