まるで別人のよう
投稿者:ぴ (414)
クラスメイトの様子がおかしくなったのは、午後からの授業のときでした。
いつもやんちゃな男の子が急に大人びた表情で先生に意見したからです。
普段とはまったく違う知的なしゃべり方で、まったく違う落ち着き方でした。
私たちはあきらかに様子が変だと思ったし、先生も目を白黒させて驚いているみたいでした。
普段は勉強嫌いで、ちっとも勉強しないような子だったのです。
なのに、しばらく先生の授業に複数の指摘をしたかと思うと、「気持ちが悪い」と椅子から降りてしゃがみこみました。
こうして保健委員だった私は彼に付き添って、保健室に連れて行ったのです。
保健室まではすぐそこだったのですが途中で立ち上がれないくらいになって、しゃがみこみました。
私が背中をさすってあげていると、吐きそうになっていました。
そこまでならまだ分かるのですが、半開きになった口からホコリみたいなふわふわしたものが見えたときは、驚きました。
なんて表現したらいいのでしょう。
何かモヤモヤもくもくしたものが生徒の口から出ていくのが見えました。
そして口から出ていったものは、私の目の前ですーっと窓から校舎の外に出ていったのです。
しばらくしてクラスメイトは正気を取り戻したみたいに元通りになり、保健室まで歩けるようになりました。
授業での先生とのひと悶着も覚えていないと言っていて、驚きでした。
私はもしかして、あのモヤモヤもくもくしたものは魂か何かで、彼は誰かに取り憑かれていたのではないかと思っています。
それくらいに話し方が別人のようでした。
そして魂みたいなものが偶然なのか何なのか見えてしまった自分がちょっと怖いなと思っています。
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