悪い癖
投稿者:リュウゼツラン (24)
誰にでも止められない悪癖はあるだろう。
僕にもある。
ある日の夜、いつものように歯を磨きながら窓辺に並べられた人形を眺めていた。
大小様々な大きさの人形は十数体いて、顔や腕に付いている傷を撫でながらふと、窓越しに映る公園で何かが動いている気配を感じる。
目を凝らしよく見ると、5〜6歳の子供が一人、砂場で遊んでいた。
あれ、こんな時間にあんなに小さい子が一人で……? と訝しんだけれど、時計を見ると時刻は午後10時を少し過ぎたところ。まぁ放任主義の親だったらそれ程不思議でもないのかな? と自分に言い聞かせながら何となくボーっと眺めていた。
すると突然、こちらを振り向いた子供と目が合う。
「あそぼう」
良く通る声でそう言った。
ゾクっと背筋に寒気が走ったと同時に、その子供は走り出す。
やばい。
直感した。
あいつはこの家に向かっている。
口にくわえた歯ブラシを放り投げ、玄関へと走る。
が、来訪者より先に辿り着くことはできなかった。
ガチャガチャガチャ!
と乱暴に外からドアノブを激しく回している。
あの子供だ。間違いない。でもよかった、鍵は閉めていたんだ。
と安心したのも束の間。
ドン! ドン!
激しく体当たりする音がドアから鳴り響く。
「やめろ!」
思わず叫ぶ。
が、やめる気配がない。
ドン! ドン!
どうすればいいんだ……
……警察だ。そうだ。警察に通報しよう。相手はたかが子供だと言えばそうかもしれないけれど、でもあいつは何か違う。様子がおかし過ぎる。あいつと対峙するわけにはいかない。絶対に。
二階の部屋に置いているスマートフォンを取りに階段を駆け上がろうとすると、とたんに衝突音が止む。
あれ、諦めたのか?
まぁ流石に体当たりで、まして未就学児と思しき子供の体格で、あのドアを突き破るなんてとてもじゃないけど不可能だろう。
――なんてのんきに考えてい僕は、実に間抜けだった。
遅ればせながら僕はここでとんでもない失態に気づく。
「……窓だ」
居間や風呂場の窓はちゃんと鍵がかかっているのか?
サイコパス男vsサイコパス少年のバトルだったのか、、、、
怖い。。