幽霊が通る家
投稿者:Zemk (1)
私の実家は霊が通る家です.
私の実家は静岡県のとある場所にあります.
私は幽霊の姿をはっきりと見たことはないのですが,幽霊がいるということは感覚としてわかります.
「なぜ,姿が見えないのに幽霊がいるとわかるのか」と思われる方も少なくないと思います.
幽霊がいるとわかるようになったのは,まだ小学校低学年の時期でした.
ある夏,私は家族と一緒に母方の祖父の家に遊びに行っていました.
いつもなら兄と一緒に川遊びをしたり鬼ごっこをしたりと,みんなで遊ぶことがほとんどでした.
しかし,その日はなぜかみんなと一緒にいることがつまらなく感じ,一人で祖父の家の目の前にある川で遊びだしました.
今となっては,なぜそんなことをしていたのかわかりませんが,私は石を積み重ねて遊んでいました.
夢中になって石を積み上げているとき,なぜかふと身体の表面がぞわぞわするような,胸騒ぎがするような感覚になりました.
無性にそこから逃げたいという感覚に陥りました.
その瞬間でした.遠くから私が川で遊んでいることを見つけたカメラ好きの祖父が,
「こっちむいて~」といって写真を撮りました.
その写真を撮られている一瞬の間だけでも「今すぐここから立ち去らなければならない」という感覚が強く,
撮り終わった瞬間に祖父のもとに猛ダッシュで向かいました.
数日後,祖父からまとめて写真が届きました.
写真はみんなで楽しく食卓を囲む姿や,テレビを見ている姿など
日常の幸せな瞬間が映し出されていました.
写真を見ていた母が急に「何この写真」とつぶやきました.
「どうしたの?」と写真を見てみると,なんと,私の左足が消えていたのです.
まさに,川で石を積み上げて遊んでいたあの瞬間の写真でした.
写真に撮られた日,私はひざ丈のワンピースを着ていたのですが
綺麗に左足だけ映っていなかったのです.
その時,「あ,あの時の感覚はやっぱりそうだったんだ」と気が付きました.
数年後,また同じ感覚に襲われました.
実家の部屋でひとり勉強をしているときでした.
姿が見えるわけではありません.触られたり,引っ張られたりしたわけでもありません.
しかし,右後ろに確かに人の気配を感じるのです.
あの身体の表面がざわざわするような,逃げなければいけないという感覚を覚えました.
しかし,逃げたいけど逃げられないのです.
私は怖くて振り向くこともできませんでした.
ただ,その幽霊がいる感覚が消えるのを待つしかありませんでした.
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