非通知からの着信に出てみた
投稿者:with (43)
俺はしがないサラリーマンなんだが、ある日を境に非通知で電話がかかってくるようになった。
時間はだいたい深夜二時前後で、俺が残業で疲れ切っていようが関係なしにかかってくる。
壁の薄いボロアパートに住んでたから予告なしにかかってくる着信音が鳴る度に隣近所からクレームがくるんじゃないかと焦ってた。
それで、このままじゃ埒が明かないから電話に出てみることにしたんだ。
着信時間は十数秒。
相手が女か男すら分からないが、電話に出て文句の一つでも言わないと気が済まなかった。
とある晩、ほぼ連日かかってくる非通知からの着信がこの日もあった。
寝惚け眼でスマホ画面の端を見れば時刻は深夜1時を回っている。
忌々しい非通知の文字を睨みながら電話に出てやった。
「もしもし、誰?」
不機嫌を隠さずに凄んでやる。
でも、電話越しには『ザ、ザザザ……』って感じの砂嵐の音のようなものしか聞こえなかった。
しばらく聞き耳を立てて静かにしていると、ボソッと人の声が聞こえた。
よく日中に固定電話にかかってくる内容は変な業者からが多いと実家の母から聞いたことがある。
もしかして、この電話も業者からで、どこぞの怪しいコールセンターの雑音が聞こえているのだと過った。
が、そんな考えはすぐに消え去る。
俺が万年床に胡坐をかいて静かにしていると電話の向こうから無邪気な声が聞こえた。
『おにいちゃんあそぼ』
俺は即座に電話を切った。
その日は何か悪夢に魘されて朝は飛び起きるように布団をめくって目覚めた。
内容は覚えてないが、小さな女の子と遊んでいた夢だった気がする。
あの電話が生きた人間の悪戯かは分からないが、俺は深夜の電話には二度と出ないと誓った。
未だに女の子は夢に出てきているのしょうか?
人によってはご褒美
↑なぜですか?
↑そちらの好みがいるから。