夜の運転練習
投稿者:take (96)
私には3歳上の姉がいます。
彼女が免許を取ったのが23歳の時でした。
家の車で運転の練習をしていましたが、一人では不安だと言うので、必ず父か、すでに免許を持っていた私が同乗することになっていました。
ある日、夜の運転練習をしたいと言い出し、父はすでに晩酌をしていたので、私が付き合うこととなりました。
暗い時に車の多いところは、まだ怖いと言うので、私がナビをし、交通量の少ない道を選んで走っていました。
そのうち、両側が植え込みや立木に挟まれた片側1車線の道に入ってしまい、「えー、こんなとこ無理だよ」と、姉が音を上げました。
そんなこと言ってたらいつまで経っても上達しないよ、と鼓舞しましたが、街灯がほとんどなくて薄暗く、道幅もかなり細かったので、姉にはまだ荷が重いかと思い直しました。
他に車がいなかったので、一旦停車し、運転を代わろうとしたときです。
動物の鳴き声のようなものが聞こえてきて、だんだん近づいてきます。
「猫じゃない?」
家でも猫を飼っていて、猫好きな姉は耳ざとく反応しました。
私はその鳴き声を聞いた時、ざわりと肌に粟が立ちました。
ふと前を見ると、薄暗い道の向こうから、四つ足歩行の小動物がこちらへ向かってきます。
しかし、そのシルエットは猫には見えず、声は赤ん坊の泣き声でした。
『あ、ヤバいやつだ』と、直感しました。
すぐ側に『水子供養』のお寺があるのを思い出しました。
「姉ちゃん、早く代わって!」
「え、なに?」
私は『霊感体質』ですが、姉には見えていないようです。
ポカンとする姉を急かして、運転を代わり、狭い道路をなんとかUターンして、車を出した時、ソレは数メートル近くまで迫っていました。
なんとか引き離した時、私は汗びっしょりでした。
「どうしたの、変な子ね」
助手席の姉は呑気にそう言いました。
なにを訴えたくて私たちの前に出てきたのかはわかりません。
霊感のない姉にまで声が聞こえるほど、たまたま波長があってしまったのか、もしかしたら私たちを両親だと勘違いしたのか……。
どうか成仏していてくれたらいいなと思います。
言う程赤ん坊と猫の鳴き声で似てねえんだよなあ
四足歩行だから、ハイハイしてたのか
子供の霊ってすげぇ悲しくなる