海水浴
投稿者:マイアミ (2)
私の住んでいる沖縄県は、全国的にも海がきれいなことで知られています。
冬でも暖かい気候ということもあり、全国各地から、観光客が訪れ、夏はもちろん、冬でも海水浴を楽しんでいる光景が多くみられます。
私も、高校生の頃までは、家族や友人たちと一緒に海水浴に出かけることが多かったのですが、高校を卒業してからは、海水浴に行くことをしなくなりました。
それは、大人になったからという理由ではなく、あることがきっかけでした。
私が、今まで誰にも言うことが出来なかった、その時のことをお話ししたいと思います。
私は、現在40代、飲食業を営んでいます。
私が生まれたところは、沖縄県でも田舎のほうで、小さな島でした。
スーパーもコンビニもなく、公園などもなかったので、遊びといえば海に行くことでした。
そのため、泳ぎは得意になっていき、海が好きで、子どものころから、家族と一緒によく釣りや海水浴に出かけていました。
気持ちが落ち着かない時なども、波の音を聞きに、家の近くの海岸まで行っていたほどでした。
私が小学3年生の頃、私たち家族は、同じ沖縄県ではあるのですが、飛行機で2時間ほどかかるところに引っ越すことになり、私も転校することになったのです…。
幼い時からずっと一緒だった友人たちと離れるのは嫌だったのですが、ほかに頼る人もいなく、小学生だった私は、親についていくことしかできなかったのです。
幸いにも転校先では、持ち前の明るさで、すぐに友人ができ、次第に転校前の学校のことや友人のことは忘れていきました。
その友人たちと中学・高校と進んだのですが、その友人たちも、私に教わりながら、釣りや海水浴の楽しさに魅了されていきました。
高校生になっても、一緒に釣りや海水浴に行くのは変わらなかったのですが、あの日を境に海に近づくことが出来なくなってしまいました。
高校2年生の夏休み、仲がいい友人たちと待ち合わせをし、海水浴に行くことになりました。
いつも行っている海に行ったのですが、その日は、観光客が多く、親から行かないように言われていた、いつも泳いでいる場所よりも奥まったところで泳ぐことにしたのです。
少し波が高い気もしたのですが、友人たちが怖がって泳ぐのをためらっている中、泳ぎが得意な私は、
「これくらい、どうもしないよ。俺、泳いでくるから、そこらへんで釣りでもしていたら?」
そう言って、一人で海に入っていきました。
しばらく泳いで砂浜に戻ると、友人たちの姿はなく、どこか近くで釣りをしていると思っていたのですが、いくら探しても見つかりませんでした…。
少し待っていると戻ってくるだろうと思った私は、砂浜に横になり、いつのまにか寝てしまったのです…。
寒さを感じ、目を覚ますと、そこには、今までとは違った風景が広がっていました。
どこか懐かしい風景でした。
「何してんの?遊ばないの?早く来ないと置いていくよ?」
そう後ろのほうから声が聞こえ、驚いた私が振り向くと…。
そこには、私と同い年くらいの男の子が立っていました。
どこかで見覚えがあるような顔に、
「誰?誰かと間違ってない?どこかで会ったことあるっけ?」
私がそう言うと、その男の子は、
「何言っているんだよ…。いつも遊んでいたのに忘れたのかよ…。」
そう返してきました。
私も高校生です。
いつも一緒に遊んでいるならわからないわけがありません。
「いや…。ほんとに誰?」
そう言うと、
「ふざけるのもいい加減にしろよ…。あんなに仲が良かったのに…。」
そう言った男の子の体が、見る見るうちに、血で染まっていったのです…。
怖くなった私は、その場から逃げようとしましたが、体が動きません。
そうしているうちに、男の子は、私に掴みかかってきました。
私の手をひっぱり、その男の子は、小さい体からは考えられない力で海に引きずっていきました。
もがきながらも、どんどん深い海底に引きずり込まれていく私。
いくらなんでも海の中に引き込むことはないでしょ。