短編
2022/12/16
08:19
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私が大学生の夏、飲み会の帰りに肝試しをしようと言い出した先輩がいました。
近くに都合よく心霊スポットがあるわけでもなく、暗い住宅街を歩くただの散歩で、みんなだんだん酔いもさめ帰ろうと誰かが言い出したとき、おかしなものを見つけました。
学校で座るような木製の椅子がポツンと街灯の下に置いてあったのです。
そこはバス停でもごみ捨て場でもありません。
近くに学校があるわけでもなく、本当に急に現れたのです。
私たちは誰も霊感などもっていませんでしたが、誰もが説明のできない気味の悪さを感じていました。
突然先輩が椅子にむけて歩きだし、どっかりと腰をかけました。どうやら怖がっていないところを見せたかったようですが、腰かけた瞬間に先輩は飛び上がって椅子から落ちてしまいました。
こわばった笑顔で
「この椅子暖かい」
「さっきまで誰かいたんだよ」と先輩が言うなり全員で駅へと向かい走りだしました。
ただの不法投棄だとは思いますが、あまりに異様で本当に怖い体験でした。
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