修学旅行の目目連(もくもくれん)
投稿者:じぇむ (8)
目目連(もくもくれん)
家の障子などのマス目マス目に現れる、無数の目の妖怪です。
私は幽霊は見たことがあるので信じていますが、妖怪は見たことが無かったので、信じていませんでした。
これは、大学の友達が小学校の修学旅行で体験した話です。
友達の学校の修学旅行先は、広島県でした。
広島県は、第二次世界大戦で原爆を落とされた都市でもあります。
戦争のない平和な世界を願い、修学旅行で訪れ、勉強することはよくあります。
そんな修学旅行先の宿は、昔ながらの大型旅館といった外観でした。
大人数で宿泊するから、リーズナブルで便利な宿を利用するのは仕方ないですが、これはちょっと怖いかもと思う、佇まいでした。
修学旅行の夜の定番、枕投げが終わった後は、布団に入ってお決まりの怖い話になったようです。
ひとりひとり体験談を話し、きゃあきゃあ怖がるのも修学旅行ならではの、楽しみというところです。
みんなの話も終わりに近づき、そろそろ寝ようかとなった頃、1人の女子生徒が、障子を指さし悲鳴を上げました。
「障子に目がいっぱいある!何あれ、怖いんだけど!」
目玉はキョロキョロと、辺りを見回すように動いています。
その目は、その子だけでなく、その場に居合わせた全員に見えていたようです。
程なくして、目は消えましたが部屋の中はパニックになり、騒動は夜中まで続きました。
「ああ、それは目目連っていう、妖怪だね」
話には聞いて知っていたので、私は友達にそう教えました。
まさか本当にいるなんて。
私が妖怪を信じた瞬間でした。
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