夜の山の闇
投稿者:いももち (40)
会社の先輩が実際に体験した話です。
先輩は一時期カメラに凝っており、休日は朝早くから山へ海へと飛び回っていたそうです。
綺麗な風景や野鳥などをひととおり撮影していたそうですが、だんだん同じようなものばかり撮影することに飽きてしまいました。
しかし、遠くへ写真を撮りに旅行するなんてことはまとまった休みがなければできません。
そこで先輩は星を撮影することにしたそうです。
ちょうどよく先輩の家の近くには、バイクで少し行くと、軽く登山ができるくらいの山がありました。
頂上近くには森を切り開いた広場があり、街灯も少なく、さほど絶景がみえるわけでもないため滅多に人も来ない最高の撮影スポットだったそうです。
その日も先輩は広場の街灯から離れたところにバイクを止め撮影に没頭していたところ、車の音が聞こえてきたそうです。
(うるさい不良とかカップルがいちゃいちゃしに来たのなら嫌だなあ……)と考えた先輩は森のほうへバイクと一緒に隠れたそうです。
車は広場に入り、先輩と反対側の隅に止まりました。大型のバンからおじさんが降りてきて、荷台から降ろした何かを抱えては森へと往復を始めたそうです。
直感的に見つかってはいけないと考えた先輩はおじさんが往復を止めて車に乗り込むまでひたすら暗闇で震え、去っていく車のエンジン音が聞こえなくなったと同時にバイクで逃げ帰ったそうです。
一緒にこの話を聞いた他の先輩や後輩達は
「ただの不法投棄じゃないですか?」
「なんで話しかけないんだよ~!」と茶化していましたが、誰かが「結局何捨ててたの?ごみ袋とか?」と聞いたところ、
「形はバラバラだったけど、綺麗な風呂敷とか女の子が使うような模様のシーツにくるまれてて、それをすごく大事そうに抱っこして、なにか話しかけながら森に入っていってた」と先輩は答えました。
夜の山はいろんな闇を抱えているという教訓を得たお話でした。
正体はわからずじまいですか..
大変気になる
事件性が無いことを祈ります……。