悪魔的なおいしさ
投稿者:ぴ (414)
子供の頃、学校帰りによく行く駄菓子屋さんがありました。
友達と一緒にそこに行くと、ニッコリ笑顔の高齢のおばあちゃんがいつも迎えてくれました。
そこに本当に悪魔的といえるくらいに、おいしい駄菓子があったのです。
友達とよく食べていて、あまりのおいしさに駄菓子屋に行くと必ず買うくらい大好きでした。
その駄菓子を食べると、私はいつも幸せになります。
友達の中にはその駄菓子が好きで好きで毎日通っている子もいたのです。
だけど、いつの間にかその駄菓子屋さんは閉まってしまい、駄菓子を買えなくなりました。
おかげで悪魔的なおいしさだったお菓子にも手が出せなくなったのです。
私はその駄菓子を求めて、何件かほかの駄菓子屋さんを探してみたのですが、そのお菓子は見つからなかったです。
駄菓子屋のおばあちゃんの笑顔が見られなくなったこともですが、その駄菓子が食べられなくなったのが一番悲しいと思いました。
そして大人になり、クラスメイトが集まった同窓会で、自然とその駄菓子屋の話題が出たのです。
みんな口を揃えて「あの駄菓子おいしかったよね~」って懐かしそうに話しました。
でも奇妙なことに誰もその駄菓子の名前が出てこないのです。
それどころかどんなお菓子だったのかすら、私も含めて誰も覚えていなかったです。
気持ちが悪くて思い出そうと頑張ったけど無理でした。
悪魔的なおいしさだったことはみんなの感想として一致していましたが、大好きだったはずの駄菓子の名前や見た目が思い出せないっておかしいと思います。
みんなしてすごく頭を抱えて思い出そうとしたけど、誰も思い出せませんでした。
あの駄菓子は何のお菓子だったのでしょうか。
その後母に聞いてみたけど、「学校の近くに駄菓子屋なんてあった?」と不思議そうにされました。
母の記憶にはないらしいです。
もしかして私たちはどこかに迷い込んでいたのでしょうか。
とても奇妙な気持ちになりました。
不思議ですね