三度目の正直
投稿者:いももち (40)
友人から聞いた話です。
友人の家は小さな山を背負う形で建っています。
いちおう人が通れるような山道もありますが、たまにご老人が山菜を採りに行くほかはあまり人の入らない静かな山だそうです。
ある日友人が夜更かしをしていたら、山から「うう、うう……」と人のうめき声のようなものが聞こえたそうです。
怖くなった友人が親を起こすと、ご両親も確かに聞こえる!と言って家の周囲を見回ったそうですが特に異常はありませんでした。
友人が無理やり寝ようとしても、かすかに聞こえるすすり泣きのような声は止まりません。
それでもうとうとしかけたところで気付きました。
(声が近づいてきてる……?)
恐る恐る外を覗くと、スーツ姿の男性がひとり泣きながらふらふら山の方から歩いて来たそうです。
近くに会社なんてないし、こんな時間になんで山で泣いてるの?と怯えた友人は親を呼ぼうとして凍りつきました。
その男性は首から千切れたロープをぶら下げながら歩いていたそうです。
友人のご両親が男性に声をかけたところ
「仕事が上手くいかず悩んだ末に手首を切ったが死ねなくて、首を吊ろうと思ったが決心がつかず、やっとの思いで実行したらロープが切れてしまった。自分はやっぱり何も出来ない」と泣きながら話してくれたそうです。
ご両親ももらい泣きしつつ励まし、警察に保護してもらったそうです。
関係のない話だと信じたいですが、このすぐあとに近所の駅で電車に飛び込み亡くなったサラリーマンがいたそうです。
サラリーマンの方のご無事を祈ります。