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心霊

ぴさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

溝掃除
短編 2022/11/10 18:12 777view

私はその日朝早くから仕事に行き、そして夜遅くに帰宅しました。

仕事上帰りが遅くなることも多々あり、本当に身も心もくったくたでした。

そんな日に私は一人で溝掃除をするおじいさんを見かけたのでした。

朝早く出かけるときに、既にそのおじいさんはせっせと溝掃除をしていたのです。

私が「おはようございます」と声をかけると、こっちを見ることもなく挨拶して手を振ってくれました。

そのときは朝から偉いなと思うくらいだったのですが、私が夜遅くに帰ってくる時間にそのおじいさんはまだ同じ場所で溝掃除をしていたのです。

さすがにもういないと思っていたので、それを見てびっくりしてしまいました。

あまりに驚いて「まだやってるんですか?」と思わず声をかけたのです。

ちょっと失礼な口ぶりでしたが、思わず言ってしまうくらい驚きました。

そしたらおじいさんは「俺がいないと誰もせんからなぁ」ってぼやいたのです。

話を聞いたらおじいさんは無償のボランティアでここらへんの溝掃除をしているらしく、私はすごく尊敬しました。

こんな時間まで人のためだけに働ける姿が輝いて見えたのです。

私も仕事を頑張ろうと思う勇気に変わりました。

そんな私ですが、後日近所の人にこの話をしたら、「出たー」と言われたのです。

意味が分からなくて驚いていたら、「それ幽霊だよ」て言われました。

驚くべきことなのですが、溝掃除をしていたのは数年前まで近くに住んでいた「菅原さん」という方なのだそうです。

そしてその人は6年前に痴呆により、息子夫婦に引き取られて、丁度3年前に亡くなったと聞きました。

以前はよく無償でここらの溝掃除を一人でしてくれていたらしいです。

私以外にも菅原さんらしき人を見たという目撃談がいくつかあるそうで、幽霊だとの噂と聞きました。

確かによく考えたら朝から晩までずっと溝掃除をするわけがないし、あんな暗がりの中で、溝が見えるわけないと思いました。

私は少しだけドキドキしながらも、もしまた菅原さんに会ったら挨拶するんだろうなと思っています。

亡くなってまで、いまだに地域のために働いているなんてすごいと思いました。

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関連タグ: #声#心霊
コメント(1)
  • 安らかに成仏してることを祈ります

    2022/11/10/21:35

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