古いビル清掃での体験談
投稿者:ナナシー (36)
1990年代、日本でのバブル経済が崩壊して、私は職もなく派遣業者を辿って仕事をしていた時の事です。
その当時は昼夜問わず仕事をしていました。ある古いビルでの清掃依頼があり、ビルに入っている会社が終業した20時以降からの仕事でした。倉庫のような部屋の片づけでした。
作業は、仕事リーダーと私の2人で、何故か電気が付いているのに暗く感じる部屋で荷物の整理をしていました。
途中私は用を足したくなり、断りを入れてトイレに向かいました。しかしながら、廊下の電気スイッチががわかりません。ほぼ真っ暗な中、あるであろうトイレの方向に向かいました。
50m程歩いてやっとのことでトイレに入ることができました。何とかトイレの明かりをつけて入ると、なぜか一画の個室トイレには鍵がかかっていました。
そして私は隣の個室に入りましたが、いきなりトイレの電気が消えてしまったのです。その時私自身は便器に腰掛けながら驚きと同時に腹痛と戦っていました。数分後何とか事を済ませて個室から出ようとした時、隣の個室トイレの水がいきなり流れたのです。
トイレ自体は今のような自動式でなく物理的にもレバーを引かなければ流れないトイレのはずです。しかも隣のトイレには私が入る以前は鍵もかかっていましたが、人のいる気配は全くありませんでした。
ここで初めて恐怖が込み上げてきて、早く仕事場に戻ろうとしたのですが、本当に周囲は真っ暗で見えません。
トイレ出口に向かっていると遠くから“おーいこっちこっちー”と人の呼ぶ声がしました。その声が仕事リーダーなのか、派遣の仕事で初めて会った人なので良く分からないまま声のする方向に向かいました。
暗闇の中をゆっくり進んでいきましたが、途中で気がついたのです。戻る方向に作業をしていた部屋の明かりがないことに。私はとっさに“今戻ります。”と大声を上げたらぱっと部屋の明かりが見えたのです。走って部屋に戻ると仕事リーダーがいました。
私は“すいませんでした。さっき呼びましたか。”と問うと“いや。呼んでいないよ。”とのこと。
私は疲れているのかな、気のせいか。と思いこみ、その後は作業に集中しました。
仕事が終わって事務所に戻ると、仕事仲間から“大丈夫だったか。あのビルはみんな仕事嫌がってなかなか大変なんだよ。”とのことでした。
そして私が行った作業は倒産した会社の整理で、その会社の社員の方は何人か自殺して亡くなられたという話を聞きました。
私がその古いビルで体験したことは公言しませんでしたが、この不気味な体験をして以来夜の時間帯の仕事を卒業しました。
お疲れさまです。
怖い。。
しかしプロフェッショナルですね。ちゃんと仕事はこなすとは。