バスの相席
投稿者:ぴ (414)
私はその日、岡山で友達と落ち合い、神戸に旅行に行きました。
ずっとワイワイして、旅行中は楽しい思い出しかありません。
だけど、帰りにぶるっとなる体験をしました。
それは何の変哲もないバスの中での出来事でした。
岡山で友達と別れて、私は一台のバスに乗ったのです。
最初はぜんぜん人が乗っていないバスでした。
そこで疲れてうとうとしていたら、隣に誰か座ってきました。
寝ぼけ眼で目を開けると、隣に座ったのは品のいいおばあさんでした。
そのおばあさんとは、旅の友達になりました。
ぜんぜん知らない人だったけど、相席した好でちょっと話をしたのです。
おばあさんは数日前におじいさんが亡くなって、一人旅をしていたようです。
一人で大阪旅行から帰ってきたと聞きました。
けれど近くに住んでいるのかと聞いたら、住んでいるのは山口県だといいます。
ここは四国で家に帰るのになんでこのバスに乗ったのか不思議でした。
バスはとても静かでした。
私とおばあさんの声しか聞こえないくらい静かでした。
人が乗っていないわけではないのです。
むしろ何人もそのバスに乗り降りしていて、人の乗り降りは多かったです。
でもなんだかその割にすごく静かなのが不気味でした。
いよいよ私が降りるところがやってきて、バスを停車させたのです。
お金を払うと、異様にぼーっとした顔のバスの運転手に不思議そうな顔をされました。
友達になったおばあさんに手を振り、私はバスを見送りました。
そして顔を上げて、「え?」て思ったのです。
そこはなぜか竹藪でした。
本当に草ぼうぼうの竹藪でした。
いつも降りるバス停の看板はなく、明らかに違う場所にいたのです。
怖くなって竹藪を必死で出たら、見慣れた道に出てなんとか家に帰ることができました。
あの日に乗ったバスを探したけど、私が乗った時間に家に帰るバスは一本もなかったです。
私は何に乗ったのは分からないです。
今思い出すとバスはすごく古かったし、バスの運転手が着ていた制服も今のものとは違っていました。
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