赤ちゃんの笑い声

私が小学生の頃、兄の手伝いで新聞配達をした時の出来事です。

その日は、とても空気が澄んでいて気持ちの良い朝でした。

時刻はまだ外が明るくなる前の午前５時くらいです。

私は団地内の配達を任されました。その団地は真ん中に小さな公園があり、公園を囲むように建物が

並んでいるようなところです。

私は1人でせっせと配り始めました。

1つの棟を配り終えて、新聞が置いてある場所に戻りまた違う棟に配るということを繰り返します。

配るのも最後の棟になった時、私は新聞が置いてあるところに戻ろうと公園の中を歩いていました。

すると、私の左後ろの棟から赤ちゃんの笑い声がとても大きく聞こえました。その時は可愛い笑い声だなっと思いながら

少しほんわかした気持ちで歩きました。すると、今度は右後ろから同じような笑い声が聞こえてきたのです。

不思議ではありましたが、あまり気にしていませんでした。建物と建物の音の反射で起こっているのかなと自分なりに解釈していました。

しかし、それは違いました。今度は私の右前から、その次は左前から同じように聞こえてくるのです。歩いている間ずっと笑い声は聞こえていて

私は怖くなって早歩きで新聞のところに向かいました。

すると今まで建物から聞こえていた笑い声がいきなり私のすぐ後ろ耳元で聞こえたのです。

寒気がして何か気配を感じ、私は怖すぎて振り向くことができずそのまま家に走って帰りました。

家には兄が新聞を配り終えて帰ってきていました。兄に一部始終を話し、残りの新聞を配りに行ってもらいました。

兄が行ったときは笑い声はしていなかったそうです。

もしかしたらその赤ちゃんは公園で小学生の私と遊びたかったのかもしれません。