姥捨山
投稿者:九遠 (1)
お盆になると僕は今でもあの時の体験を思い出してしまいます。
平成初期、僕がまだ小学生の頃でした。
お盆の時期には親戚一同、中部の祖父母の家に恒例行事の如く帰省し、大勢でワイワイとどんちゃん騒ぎするのがお約束だったのです。
祖父には三人の息子がいて、それぞれ長男家、次男家、三男家となり、僕は次男の一人息子です。
そして、長男家には中1のAと小2のBがいて、三男家には小4の娘Cが居ました。
僕らは最初こそ人見知りしていたものの、そこは子供だからか誰かが好意を示せばこぞって心を開いて仲良くなり、今年も気軽に話しかける程度には距離感が近くなっていました。
「元気してた?」
肩に手をおかれて振り返ると、Aが少しあか抜けた表情を浮かべていたので面食らってしまいましたが、後ろにBがもじもじと隠れていたのですぐに笑顔を取り繕う事ができました。
流石に中学生になると表情が一つ大人の顔立ちに成長していたからでしょうか。
Aを見たときに何処か似たような別人だと思ってしまったのです。
「久しぶり、A兄ちゃん。Bくんも」
僕らが男同士で近況報告を交わしていると、少し離れた場所でCが母親に抱き着きながらこっちをチラチラと見ていました。
始めはどうしたのだろうと首を傾げましたが、Cの母親が「行っておいで」とはにかんだ後にトテトテと駆け寄ってくるCを見て「ああ、そういえばCはちょっとシャイな所があったな」と思い出し、僕はCが近づく少し前に声を掛けます。
「Cちゃん、久しぶり」
「…ひ、久しぶり」
こうして親戚の子供4人が一カ所に集う事になり、大人達がリビングで話している間、子供は子供だけで祖父母の邸宅内を探検しながら走り回るのでした。
昼食後、僕達は親戚一同が介して食事を取る十畳以上の仏間で寝転んでいました。
満腹になるとすぐに眠たくなるのがまだまだ僕が子供である証拠なのでしょうが、BやCも船を漕いでいたので安心してそのまま瞼を閉じていました。
が、唐突にAに体を揺すられた事で僕は目を開きます。
「何?」
「おまえら起きろ」
僕が眠たい目をこすっていると、Aは質問に答えずにBとCも叩き起こします。
大きな欠伸をするBの頭を撫でつつ、Aは改めて僕の方を見て、
「ちょっと出かけようぜ」
と、子供でも分かる様な悪巧みを含んだ笑みを浮かべました。
祖父の家の周りは殆ど畑ばかりで、隣家との距離は五軒分離れている様な場所です。
元々盆地の中腹を切り開いたのか、表の道路の脇は崖になっていて下には小川が流れており、家の裏側は山といった具合の田舎でした。
その為、僕達子供が遊ぶとなれば大抵は川遊びか山で昆虫採集とかそういったものに限られています。
しかし、今回Aは僕達を叩き起こした後、少し離れた場所の山に行くと言って連れ出しました。
僕は夏の日差しに弱いのでどちらかと言えば川遊びがよかったのですが、この時のAはどうしてか山に固執して一向に引く気配が無かったのです。
と言うわけで、僕達はAに引率される形で昼食後の運動がてら山登りをする羽目になりました。
ちょっと長かったけど読み応えあって面白かったです
埼玉に姥捨山あるって話を思い出した
夢に出そう
あばばばばばばばば
長野県に姨捨って地名あるよ…
ググってみてください