警報機を鳴らすモノ
投稿者:津々 (42)
私がプールの監視員として働いていた時に体験した話です。
私は監視員兼施設長として勤務していました。なのでほぼオープンからクローズまで勤務していること多かったのです。
理由は当時、女性監視員の人員が足りず、シフトで男しかいない時間帯があり私が責任者として、女性が居ないことを確認して更衣室の清掃・点検をしていました。
そんな忙しい中、女子更衣室で転倒し頭を強く打って病院に運ばれるという事故が起こりました。発見したのは私でした。
女性は水着姿で仰向けに倒れていて床は血だらけでした。
私は血の量を見て「これは助からないんじゃないか」と思い救急車が来るまで心配し女性が運ばれてからも安否が気になりました。
しかし、私がわかっているのはここまです。あとは社長や重役など偉いさんの案件になり私が知る余地はありませんでした。
女性が救急車で搬送されてから数日は容態が気になっていましたが、夏休みの時期が来てさらに仕事が忙しくなり女性の事を忘れてしまっていました。
その頃から夜に人感センサーの誤作動が多くなりました。
私の携帯電話にも人感センサーが反応するとメールが来るようになっていてので、近場に住んでいるので大手警備会社の方が到着する前にプールに到着して泥棒などの侵入者が建物内に入った形跡がないことを確認してから建屋内も確認して問題がなければ警備会社に連絡するという流れでした。
この事は、会社の上司と私しか知らずバイトの子たちには内緒にしていました。
何故かというと幽霊が出たと騒がれては困るからです。
しかし、最近では2日に1度はセンサーで呼び出され私の疲れも極限でした。
そんな中、嬉しい事が起こりました。それは、待望の女性監視員がバイトに来てくれることになったのです。
バイトに来てくれた女性をHさんとします。Hさんはとても活発な女性でした。
仕事も熱心で人手の足りなかった夜間帯でも文句も言わず一生懸命働いてくれました。
しかし、Hさんは活発すぎたのか、私によく「プールって幽霊でないんですか?」と何度か聞いてくることがありました。
もちろん私は「そんなのでないよ」と返していましたが、Hさんは納得していない感じでした。
Hさんと私は年齢も近く夜間帯はほぼ二人だったこともありとても仲良くなりました。
ある夜、仕事終わりに2人で外食していました。その時に、例のメールが来ました。
Hさんは普段聞かない着信音だったからか私に「誰から?」と聞いてきました。
私は答えに困りましたが正直に人感センサーの話をしてしまいました。
その時の、Hさんは「がんばれ!施設長」とお店から送り出してくれました。
しかし、翌日からHさんの好奇心と活発さが裏目に出てしまいました。Hさんは仕事中でも利用者さんが少なくなると「誰かいるの?」「幽霊さーん」と誰も居ない廊下や更衣室に向かって話しかけるようになったのです。
私はすぐHさんに「そんなこと止めなさい」と注意したのですが、Hさんは「誰も居ないのに人感センサーが反応するのは絶対に幽霊じゃん。私、めっちゃ幽霊に会ってみたい」と満面の笑みで私に答えました。
数日後、見る見るうちにHさんの顔色が悪くなっていくのがわかりました。
私はHさんに「顔色悪いけど体調悪いの?」と聞くとHさんは「最近眠れないんだ」と普段とは違い弱い感じで答えてくれました。
その日の夜、私はHさんが心配になりご飯に誘いました。食事中、Hさんはなぜ眠れないかを話してくれました。
「夢の中で知らない女の人においかけられるの。それもプールの建物なんだよ。そして結局、女の人に捕まるんだけどその時によく聞き取れない言葉を叫ぶんだよね」といつもより小食なHさんが話してくれた内容でした。
翌日、事件が起こりました。
それは、仕事中にHさんが叫びながら女子更衣室で倒れてしまったのです。
Hさんに外傷はありませんでしたが、精神的に参っておりバイトを続けられる状態ではありませんでした。
良ホラー