夜勤の洗礼
投稿者:muu (5)
私が新人看護師だった時の話です。
当時勤めていた病棟は夜勤看護師1人・助手1人の勤務体制で、患者数は60人程。
夜勤は夕方から翌朝8時まで。
医療行為はすべて看護師だったので、新人だった私はいまだかつてない緊張をしていました。
私の初夜勤の日、ベテランの看護助手さんとバディを組むことになりました。
それだけで私の気持ちは救われたのを覚えています。
次々と仕事をこなし、深夜になりました。相方さんと交代で1時間ずつ休憩を取る時間です。
まずは相方さんが先に休憩に入りました。
ラウンドは終わっていたので、私はナースステーションで輸液や経管栄養の確認と準備、申し送り内容のまとめなどをしていました。
しばらくしてナースコールが鳴りました。
病室と病室の間の廊下にあるトイレからでした。
患者さんはみんな自力で動くことが難しい方達だったので、おかしいと思いました。
介助がないと行けるはずがないのです。
相方さんからも誰かがトイレに入っているから介助お願い、という情報も聞いていないし、患者さんが徘徊して倒れているのかもしれないと思い現場へ急ぎました。
トイレにつくと小窓から見える中は真っ暗。ナースコールランプがつきコールが鳴っているものの、誰もいません。
ドアを開けても無人なので病室を見て回りましたが、皆さん就寝中でした。空いたベッドもありません。
首をかしげながらナースステーションに戻るとまたナースコールが。
同じトイレからでした。
今来た道を急いで戻り確認しますが、トイレにはまた誰もいません。
院内用PHSでコールを取り、トイレの音停止ボタンも押し、ドアを開けっぱなしにして様子を見ましたが
嘲笑うかのようになんと今度は私の目の前で空室のトイレからナースコールが鳴り響いたのです。
確かに怖かったけれど、いい加減仕事の邪魔をしないでほしいという怒りの方がはるかに大きかったと思います。
その謎の現象は、相方さんが休憩から上がった途端ピタリと止まりました。
故障かな?相方さんがからかったのかな?とも思いましたが相方さんは休憩室から出ていませんし、その後鳴り響くことはなかったので故障ではないようでした。
先輩ナースが言うには、新人看護師が1人夜勤を初めてする時は不思議体験のような洗礼を受けるのだそうです。
それは亡くなった患者さんによるものなのか、スタッフによるものなのか、それとも…。
その後の夜勤では何も起きませんでしたが
今もなお、全国どこかで新人看護師たちが洗礼を受けているのかもしれません。
お疲れさまです
新人を舐める、古今東西共通の文化。あの世にもしっかりと受け継がれている。
幽霊センパイの仕業かな