冷蔵庫に仕舞われていたもの
投稿者:りー (118)
私が子供の時の話です。
当時私は田舎に住んでおりそこでは昔ながらの生活が営まれておりました。
家の近くには畑があり持ち主のおじいさんがそこに併設された小さな倉庫から毎日農具を取り出しせっせと野良仕事をしているのをよく見ました。
遠目から見ているだけでしたが倉庫の中には様々なものがありました。
農具や段ボール、冷蔵庫などが置かれており実際使われているのは農具だけでした。
私は冷蔵庫には何が入っているのか気になりました。
しかし人の畑なので入る事は出来ません。
そこで近所のおばあちゃんに何が入っているのか聞いた所急に顔をしかめて「知らんでいい」と言われてしまいました。
誰に聞いても同じ反応で増々気になってしまいました。
好奇心旺盛な私は自分で確かめてみようと人が居ないのを見計らって畑に侵入しました。
普段倉庫に鍵はかけられていないので侵入は容易でした。
早速開けてみると中はペットボトルや小さな段ボールが所狭しと置かれてギュウギュウでした。
しかし私はその中にマネキンの手の様なものを見ました。
触ろうとしたら急に後ろから「こら!」と怒鳴られ私は摘まみ出されてしまいました。
おじいさんから酷く叱られこの事を知った両親からも叱られ散々でした。
その後倉庫には鍵が付けられました。
自らの失態にしょんぼりしていたら以前のおばあちゃんが一言「あの家昔人がいなくなったんだよ」と教えてくれました。
私が見た手の主はきっとその人だったのでしょう。
その事自体も恐ろしいですが皆薄々気付いているのに通報もしない事もまた恐ろしかったです。
私は大学進学と共に田舎を出て一度も帰っていませんがあの冷蔵庫はきっと今もあの倉庫にあるのでしょう。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。