絶対に夜に通ってはいけない道
投稿者:田中 (1)
私がまだ実家暮らしだった頃の話です。
その頃私は隣の市の動物病院に勤めており、実家から片道40分かけて通っていました。
ある夏の暑い日、妊娠中のパグがもしかしたら今夜あたり出産になり帝王切開になるかもしれないから自宅で待機しておいてと言われてました。
予想通り深夜2時に先生から着信があり、少し危ない状態だから出来るだけ早く来てほしいと言われました。
分かりましたと急いで支度をし、『急がなきゃ‼︎』と車を走らせました。
いつもは国道を通るのですが、その時は『裏道が近いよね』と何の迷いも無くその道に向かいました。
その道は父に『あの道は絶対に夜は通ってはいけない』と言われた道でした。
昼間も何度も通ったこともあり、なんで父はそんなことを言うのか私はまだ分かっていませんでした。
道に入ると、そこは街灯が無いので照らされるのは自分の車のライトだけです。
最初の違和感は車内の気温が突然グッと下がったことです。
それは冷房をつけていないにも関わらず、寒いと思うほどでした。
何か気味が悪いなと思い、アクセルを踏む足に力が入りました。
そんなことを考えながらふとミラーを見ると
後部座席にうつむいた女性が座っているのです。
あまりに突然で恐怖で目をそらし、そのまま車を走らせました。
裏道を抜け、辺りも明るくなった頃もう一度ミラーを覗くとその姿はありませんでした。
動揺しながらも職場に向かい、無事に帝王切開も終え帰りはいつもの国道を通り帰りました。
次の日父にそのことを話すと怒られながら
・昔あの場所で知的障害のある女性が家族に暴行をうけ、殺されてしまったこと
・地元の人は何人も私のように女性の姿を見た人がいること
・車に突然現れるその女性に驚いてなのか、あの道は事故がとても多いこと
を教えてくれました。
それから私は、夜はおろか昼もその道を通れなくなりました。
自分の子供にも語り継いでいこうと思います。
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