何の気なしに「あの世」に足を踏み入れていた少年のお話
投稿者:窓際族 (47)
知り合いのお子さんのH君は、普段は東京に住んでいます。
しかし母方の実家が岩手にあるので、夏休みには毎年そこを訪れ、何日か実家に泊まるのが普通でした。
最近は流行り病のせいでなかなか帰省できないようですが……
それはさておき、H君はある年、お母さんの実家近くで奇妙な体験をしました。
そのきっかけは山の中にある広場の、1本の木の棒。
広場は山の中の人気がない場所にあるにも関わらずきれいに整備されており、また木の棒はその広場の中にぽつんと1本だけ立っていたそうです。
そして当時小学生だったH君は、興味に任せてそれを引っこ抜こうとしました。
しかしどういうわけか何者かの強い視線を感じ怖くなったので、急いでお母さんの実家に逃げ帰ったということでした。
H君はその夜、夢を見ました。
知らないお爺さんとお婆さんが歌を歌ったり、何かを食べている……しかしH君は彼らがこの世の者でないと直感したそうで、あの世に引っ張られそうで怖かったと感じたそうです。
翌日祖母にそのことを話すと、祖母はその広場が「デンデラ野」であるとH君に伝えました。
それは今で言う老人ホームのようなもので、昔はそこで老人たちが集団で助け合いながら暮らしていたとのことです。
またそこは墓地でもあり、この世にありながらあの世であるとかつては考えられていたとか……
ゆえに死人が出そうになると、そこに何らかの前兆が現れるという話も場所によってはあるようです。
無論地元の人はそこを大切に整備していますが、H君のように何も知らない人がそこで変なことをやらかしたりしたらと思うとちょっと怖いですね……本当に木の棒以外には何もない場所なので。
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