霊感犬「くう」
投稿者:ぴ (414)
私が小学4年生のときに、祖父母が私のためにと飼い始めたのが犬の「くう」でした。
くうは元気いっぱいのマルチーズ犬。
ちっちゃくて可愛くて、私が行くとしっぽをふりふり出迎えてくれる愛らしい子でした。
しかし、不審な行動も多かったです。
いつもは無駄に唸ったり吠えたりしないのですが、夕方になると納戸のほうに向かって「うーうー」と低く唸り声をあげます。
私が「どしたの?」とくうの前に行っても、その唸り声をやめません。
普段では考えられないような凶悪な顔で、納戸をじっと睨みつけていました。
まるでそこに見えない何かがいるような態度のくうは、いつ見ても怖かったです。
ある日、祖父母が忙しいので代わりにお散歩していたら、くうが急に唸り出したことがありました。
しかも唸る先は誰もいないはずの小屋なのです。
誰の小屋かも分からないけど、散歩コースに荷物を置いた小屋みたいなのがありました。
そこに向かって牙をむき出しにして吠え出したのです。
「くうやめて」と私が言ってもくうはその場を動かず、引っ張っても小型犬とは思えない力で踏ん張ります。
そして10分くらいその場にいたでしょうか。
急にふっと吠えるのをやめたかと思うと、再び散歩コースを歩きだしたのです。
私は「え、そこに何かいたの?」と妄想が止まらず、鳥肌を立てっぱなしでした。
くうはよくこういったことをする不思議な犬でした。
だから私の中では霊感犬という認識があります。
そしてくうの死んだ日もかなりおかしかったです。
私がおばあちゃん家でテレビを見ていたら、くうが「ぎゃんぎゃん」と吠える声を耳にしたのです。
どうしたんだろうと思って見に行ったら、くうはまた納戸の向かって吠えたてていました。
いつものことだったので、放っておいたのです。
そしたら急に静かになって、祖母が見に行ったらくうは亡くなっていました。
あまりの突然の死に私はしばらく受け入れられなかったです。
くうは生まれてたったの5年で命を落としました。
犬の平均寿命が十数年といいますから、相当短い命だったと思います。
もしかしたらあの日くうが吠えていた見えないものはいつものものとは違っていたのかもしれません。
あの日どうしてもっと気にかけてあげなかったのかと後悔しない日はなかったです。
そして一体納戸に何があるんだろうと祖父母の家の納戸がすごく怖いと思うようになりました。
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