襲われた動物たち
投稿者:ぴ (414)
小学生の頃に私が通っていた学校で、飼育員をしている男の子がいました。
変わっていると言われていたのですが、その子は鶏が大好きだったのです。
鶏に「ピッピ」と名前をつけてそれはそれは可愛がっていました。そんなときに、あのような凄惨な事件が起こったのです。
学校で飼っている動物が次々に殺される事件がありました。
その殺し方というのはとても残酷で、見るも無残なものだったそうです。
私はその様子を実際に見たりはしていないのですが、目撃した子供たちはみんな泣いていて、それだけでどれほど酷い状態だったのかが伝わってきました。
明らかにその動物たちは何かにひっかかれて、なぶり殺されていたような状態だったみたいです。
そんなの子供の力では絶対に無理だと思うのですが、なぜか学校では飼育員だった男の子が犯人じゃないかと他の生徒たちに疑われていました。
理由は二つあります。
一つ目は第一発見者の多くが飼育員の男の子だったからというものです。
飼育員はいつも動物の世話をしているはずなので、第一発見者になるのも不思議ではありません。
だけど、子供にはまだ分からなかったのでしょうか。
その男の子が犯人なんじゃないかと噂が立ちました。
それからもう一つの理由は男の子がとても貧乏でいじめられていたからなのです。
「臭い」なんて酷いことを言っていじめている子もいて、おそらくその子をつま弾きにしたかったのでしょう。
クラス一目立つ男の子が率先して「犯人はあいつじゃないか」という噂を流しているようでした。
動物の世話になると、誰よりも頑張っていたその子が無残な方法で動物に危害を加えるなんて思えなかったです。
だから私はできる限り庇っていました。
それでもクラスで、「あの子が怪しい」という噂は後を絶たず、次第にその子が学校で孤立していってしまったのです。
前は一部の人にいじめられていたその子が次第にクラスメイト全体から冷たくされるようになりました。
見ているのが辛いくらい、本当に酷かったです。
そんなときに、飼育員の男の子が特に大事に世話をしていたピッピを含む数羽の鶏が被害に逢いました。
私はそれは偶然見に行ったのですが、ものすごく争ったような形跡があり、羽がたくさん飛んでいました。
私はこれを見たときに、絶対に犯人は飼育員の子ではないと確信しました。
だってあんなに目に入れても痛くないくらい可愛がっていた鶏を殺すわけがないと思うからです。
けれどクラスメイトの中には「絶対にそいつだ」と目の敵にする生徒もいて、可哀そうでたまらなかったです。
なぜこんなに一生懸命飼育員をしている子を犯人にできるんだろうと悔しくて涙が出るかと思いました。
飼育員の子は一連の事件のせいで、やつれにやつれてガリッガリになっていました。
大切にしていたピッピが亡くなったのもすごく辛かったと思います。
貧乏な家だったせいでもともと細かった体が益々細くなって、骨が浮き出しそうでした。
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