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心霊

きみかさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

バックパッカーでの怖い体験
長編 2022/05/16 15:14 2,719view

昔、オーストラリアをバックパッカーで一人旅していた時の話です。当時、私はお金がなかったので、宿は世界中のバックパッカーの若者が集まる安いバックパッカーホステルを選んで滞在していました。そして、少しでも旅資金を節約するために、次の目的地に移動するときは、値段の安い夜行バスで眠り、バスを宿代わりにしていました。夜行バスの出発時間は大体21:00で、周りは真っ暗。

その日も、次の目的地に向かうために、真っ暗な夜道を早歩きでバス停に向かっていました。

歩きながら、ふとこの辺りには心霊スポットがあると地元の人が教えてくれたのを思い出してしまい、私は急に怖くなってしまいました。田舎なので夜道を歩いている人は一人もいなく、物音もなく、私はますます心細くなりました。すると前から人が歩いて来るのが見えました。あぁ良かった。ちょうど道に迷っていたからあの人に聞こうと思い、私が手を挙げた瞬間、その人がパッと消えました。あれ…?夜だし、何かと見間違えたんだと自分に言い聞かせながら歩き、

出発時間ギリギリでバス停に到着し、バスに乗り込むと、地元の大学生らしき女の子が私の方をじっと見ています。目が合ったのでニコッとしても私をじっと見続けています。バスにはアジア人は私一人だけで、あとは皆白人の若者でした。何人かは、アジア人の私を珍しがって見ていましたが、すぐに眠り始めました。しかし、あの女の子だけが振り返り私をじっと見ています。「何?」と聞いても返事はなく、それでも私を見ています。疲れていた私はそのまま眠ってしまい、気づいたら目的地に到着していました。

その日は、珍しく良いホテルを手頃な価格で予約することができました。チェックインを済ませ、部屋に入ると母に電話しました。

母「あれ?もう友達できたんだね。お友達も一緒に泊まるの?」

私「え?今日はホテルの一人部屋だよ。」

母「誰かが喋っている声が聞こえるよ?今部屋にいるの?ラウンジにいるんじゃないの?」

私「え!今私は一人で部屋にいるんだよ!音楽も聞いてないし、部屋は8階だし、何も音は聞こえないけど…」

母「ちょっと静かにしてごらん。やっぱり誰か喋ってるよ。」

私「えーー怖い!携帯が壊れているかも…」

と電話を切りました。その夜は疲れていたのでぐっすり眠っていました。トントントン。ドアのノック音で目覚めました。時計を見ると2時。ドアスコープから覗いて見ると、誰もいません。念のためにドアを開けて人がいないかを確認してみましたが、廊下にも誰もいません。不思議に思いながら、また眠りにつきました。次は、誰かの声で起きました。時計を見ると3時半…誰だろう?直感でドアには近づかないほうが良いとピンときて、ブルブル震えながら再び眠りにつきました。朝になると、昨日怖かったことなんてすっかり忘れ、2日目は観光を楽しみました。

そして夜になると、やはり昨日と同じ夜中の2時頃に、トントントンと私のドアをノックする音で目が覚めるのです。そして誰かの喋る声…でも人の声にしては、何かおかしいな…いや!何か用があってホテルのスタッフが私の部屋まで来たかもしれないと思い、3日目の朝、フロントに行きました。

私「すみません。昨日の夜、私の部屋に来ましたか?夜ドアをノックしましたか?夜中頃、誰か私の部屋をノックしたのですが、開けたときは誰もいなくて…」

ホテルスタッフ「いえ、誰もあなたの部屋に行ってはいないと思いますが…ちょっと他のスタッフにも聞いてみますね。」

と他のスタッフに聞いても、部屋には行っていないと言っています。

ホテルスタッフ「もし用があるなら、まず電話しますよ。」

と笑いながら、「ここのホテルはセキュリティはバッチリですよ。でも何かあったらまた来てください。」と言ってくれました。誰かのいたずらではないのか…

優しいホテルスタッフたちのおかげで少し安心した私は、真夜中のドアのノック音は気のせいだと思うようにしました。

旅疲れが出た3日目は部屋で過ごしました。母から私が泊まっている部屋が見たいとメールが来たので、ビデオ電話をすることにしました。しかし電波が悪く、上手く映らなかったので電話で話すことにしました。

母「隣の人、声大きいね。よく喋るね。」

私「え、何も聞こえないけど?」

母「あれぇ、この間みたいにまた声が聞こえるけど。誰かが近くで喋っているんじゃないの?」

私「部屋は私一人しかいないよー。携帯の調子が悪いのかもしれないね。じゃ切るね。またね。」

と、怖くなった私は電話を切りました。この旅の直前に携帯は機種変したばかりだし、お母さんの携帯も、同じタイミングで機種変したのに…試しに父親の携帯から私に電話をかけてもらいましたが、誰かの話し声は聞こえると母は言うのです。

その3日目の夜、また真夜中のドアのノック音で目が覚めました。別に何も見えないし無視しておこうと、それに幽霊なんて見えないしいいやと眠ろうとすると、シャワー室からジャーーーーと水の出る音がしました。え…ちゃんと蛇口は閉めたはず…と驚いていたら、シャワー室の方から声が聞こえてきました。誰か入ってきた?!どうしよう、もし不審者だったら危険だ…と毛布にくるまってアタフタしていたら、水道も話し声もピタッと止まりました。おそるおそる、毛布から顔を出し、携帯のライトでシャワー室の方を照してみると誰もいません。そして部屋の明かりを付けて、クローゼットやベッドの下に誰もいないことを確認。ドアの鍵もちゃんと閉まっている…じゃあ、あの声は…シャワー室に入ると、タイルには水溜りができていました。やっぱり、あのノック音と話し声は生きている人間ではなかったのか…

このホテルに滞在するのもあと2日。今さらルームチェンジなんてできないし、余計なお金を使いたくないと思った私は、夜は電気は付けたままで寝ることにしました。明るかったら怖くないし、あと2日だけだ。

4日目の夜、ドアの鍵も水道の蛇口もしっかり閉めたのを確認し、部屋の電気は消さず明るいままで眠りにつきました。また真夜中に誰かの話し声で目が覚めましたが、すぐに止みました。

そして5日目の夜がやってきました。前日のように電気を消さずに眠りにつきましたが、夜中トイレに起きたとき、いつもの癖で電気を消してすぐに眠ってしまいました。ドンドンドン!ドアをノックする音で私は飛び起きました。話し声が近い…あれ、シャワー室のとこに黒い人がいる!「あ!」という私の声に気がついた黒い2、3人の人影がこちらに向かってゆっくり歩いてきました。ざわざわざわと何か言いながら、近づいてきます。声にならない叫び声を上げながら、隠れようにも体が動きません。気づいたら朝になっていました。荷物をまとめすぐにチェックアウトを済ませ、日本に帰国しました。

その話しを友人にしたら、「夜行バスに乗る前に何か変なの見た?もしかしてその変なものも一緒に憑いてきたのかもよ?」

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