激臭課長の残り香

これはS県のとある役所に勤めている友人から聞いたお話です。
2008年頃、某部署に典型的なパワハラ課長がいました。
無論皆はそいつを嫌っていましたが、その原因はパワハラだけではありませんでした。
そいつは不潔なうえに臭かったのです。

これは加齢臭だとかオヤジ臭だとかそういったレベルのものではありません。
半径3m以内に寄ると下水とゲロとタバコとウ〇コをミックスして煮詰めたような強烈な口臭がしたのです。
おまけに奴は体育会系で、変にスキンシップを好むようなところがありました。
何かあるとすぐ肩を組みたがったり、後ろから肩を強く叩いたり、すぐそばで大声を出したり……
特に女性職員にとっては何重もの意味で地獄のようでした。

しかしある日のこと。
奴はなんの前触れもなく急死しました。
とはいえ深酒、ヘビースモーカー、偏った食事、運動不足など要因はいくらでもあったので、誰も驚きはしませんでした。
むしろパワハラと激臭からやっと解放されたと多くの下っ端職員は喜んでいたそうです。

ところが。
深夜に残業していると、たまにトイレや給湯室で変な匂いがすることがあるというのです。
それは下水とゲロとタバコとウ〇コを足して濃縮したような……つまり、あの課長の匂いです。
しかし出たと思ったらすぐ消えてしまったり、出る時間帯もバラバラだったり、感じる人が偏っていたりで原因はよく分からないそうです。
これはもしかすると……

ちなみに件の友人はその匂いを全く感じたことがないそうなのですが、先輩は今でも年に何回かくらいは感じることがあるそうです。